院長ブログ
中医学 [院長ブログ]
●中医学診断
当院では、慢性疾患の場合には中医学診断基準に基づいて主に動物用漢方薬の処方を行っています。しっかりとお話(性格、行動、症状)を伺いながら人間と同様には行きませんが、舌診、腹診、脈診を意識して、西洋医学的診断と併せた身体検査を行っています。
東洋医学では、四診(望、聞、問、切)でデーターを集め、病状を大きく陰、陽/虚、実/湿、寒/熱、湿/乾に分類します。
●漢方処方
統合医学的(東洋医学と西洋医学のmix)診断を行った後は、慢性疾患の多くで漢方薬を処方しています。急性疾患では、西洋医学の薬を使用しますが、慢性疾患では、漢方薬を好んで使用しています。
●西洋医学との違い
東洋医学は体を全体から観察し調整します。一方、西洋医学は、身体を物と考えて、一部分の故障を見つけて処置します。分かりやすく言えば、パーツの応急処置になります。しかし、WHO(世界保健機構)は、肉体は、身体性と精神性と霊性からなると伝えているように、身体は、単なる機械ではなく精神(感情)が体に大きく影響を及ぼし、さらには、霊性部分、つまり体を流れる気(微細なエネルギー)が滞りを起こすことで問題を発生すること知らなければなりません。

肉体に症状が出る前に、まずエネルギー取り込み口に障害が発生します。そのエネルギー取り込み口を調整することが自然治癒力を取り戻す一番大切で最初の処置であること。本来の根本原因がどこにあるのかを微細エネルギーを含めて考察していかなければ、完治にはつながらず、再発を起こすこと。また、動物は元々、自分で自分の体を治す力を持ち合わせていることを忘れてはならず、我々が間違った方向へ導き、あるいは、薬の毒性で身体が持つエネルギーを抑制してしまうこと、を理解していなりません。
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猫の化膿とFIPからの復活 [院長ブログ]
●メイ ♂ 2歳 日本猫
2ヵ月前に陰嚢部分を咬まれたそうです。今回は、治りが芳しくないので、外科的処置を行うことにしました。
●化膿巣
よりによって悪いところを咬まれた(赤矢印)ものです、両睾丸共に化膿し、既に一方は萎縮(黄矢印)していました。抗生剤の治療を試みましたが、改善がみられないので、両睾丸摘出を含めた膿瘍の解放処置を行うことにしました。
●睾丸摘出
感染して萎縮した睾丸と感染して腫大した睾丸を共に切除しました。左の睾丸の袋も感染が見られましたので一緒に摘出しましたが、右の睾丸の袋は無事で、その袋を使って喪失した切除創を再建することにしました。
●術後
片側の睾丸の袋を使用したため、多少皮膚のずれがありますが、問題は生じないと思われます。
●摘出睾丸
左が感染して腫大した睾丸、右が萎縮した睾丸です。
●その後の猫伝染性腹膜炎(FIP)
以前、猫伝染性腹膜炎により盲腸周辺を大きく摘出する手術を行いました(記事「猫の伝染性腹膜炎FIP 完治を目指して!」を参照ください)。原因は猫伝染性腹膜炎でした。手術に続いてウイルス治療を行い一命を取り留めた経験があります。その後、再発も見られず順調に育ち現在に至っていましたが、今回睾丸を咬まれ摘出に至ったのは無念でした。
猫の口内炎2 [院長ブログ]
●ウララ 11歳 ♀ 三毛猫
「出血し、食欲がなく、よだれを出し、前足で口を掻く」主訴で来院されました。口の中は、痛々しく変化していました。
炎症著しい肉芽病変は、口の側方からはみ出していました。
●口頬部の痛々しい炎症病変
●口内炎治療と対策
口内炎の原因は長期に渡る細菌に対する自己免疫による炎症反応です。治療は、抗生物質、免疫抑制剤、インターフェロンなどがありますが、最も効果的なのは全ての歯を抜歯する外科処置です(80%改善)。外科で特に気を付けなければいけないのは、抜歯作業中に歯の小さな根が折れてしまう残根の問題です。この歯根片を残してしまうと、術後再発の可能性が生じるので熟練した手技が必要となります。
全抜歯に抵抗を持たれる飼い主さんが多く、そのお気持ちは十分に理解できます。しかし、長期薬物管理の副作用を考えると積極的に外科を考量する必要があります。また、抜歯後は、歯が無くとも食事は通常通りいただくことが可能です。
●1ヶ月後
今回は、舌根部に膿瘍を形成してしまいました。ようやく飼い主さんが重い腰を挙げ、全抜歯の許可をいただく事ができました。全抜歯は、この状態が治まり次第行う予定です。
●口腔学セミナー
先般、歯科学の権威者の一人あるペンシルバニア大学のDr.Harveyが来日されました。猫の口内炎についてDr.Harveyも「現段階では、最後の手段ではなく、一番に選択すべき手技である!」と仰っていました。
私のしつこい質問にもかかわらず、丁寧にお答えいただき、数々の歯科の問題点が消化され、明日への臨床に大いに役立つご教授をいただきました。感謝。












