猫の呼吸困難(炎症性肺炎) [院長ブログ]
●マロ 日本猫 10歳 ♂
「食欲がなく、尿が少ない」主訴で来院されました。聴診で肺に湿性ラッセル音が聴取されたので、レントゲン撮影を行いました。そのレントゲンでは、肺野全体に及ぶ肺炎像が発見されました。
この像から感染性肺炎、非感染性肺炎を疑い、次の検査である気管支洗浄をお勧めしました。
●気管洗浄液
麻酔をかけて気管内を洗浄し、材料を採取しました。此の作業は、犯人を眼で確かめるために必要検査です、リスクはありますが、病状を確実に把握する有効な手段となります。
採取した気管洗浄液です。此の材料で培養、細胞診、遺伝子検査などを行い、原因を追究します。証拠なしに抗生剤やステロイドを投与することは避けなければなりません。
*抗生剤投与について
人間で大きな問題になっている耐性菌は、医療関係者の漠然とした使用により大きな社会問題が生じています。本当に抗生剤が必要な時に、短期間、高容量を使用し、耐性菌(抗生剤の効かない菌)の発現を抑えなければなりません。乱用は、人類/動物の死活問題に発展してしまいます。故に使用する側は、肝に銘じて適切に使用しなければなりません。化膿したら抗生物質、熱があれば抗生剤、咳が出れば抗生剤、出血したら抗生剤と考えるのは生存の危機となります。
●治療5日後
食欲はありませんが、呼吸状態が随分落ち着きました。確認のレントゲンを撮影すると、初日の間質性肺炎像がほぼ綺麗に改善していることが分かりました。
著しい改善は見られましたが、油断はできません。しばらく入院いただいて、精査させていただきます。
猫の黄疸1 [院長ブログ]
●嵐 ♂ 5歳ぐらい
「食欲元気がなく吐く」主訴で来院されました。体温40度、皮膚弾力低下、虚脱、口からの出血が見られました。
●黄疸とは?
嵐の身体検査では、明らかに粘膜の色が黄色に変化して、黄疸があることを物語ります。黄疸は、血液中のビリルビン(赤血球の主要構成成分)が増加して、皮膚や粘膜などの組織が黄色く変化した状態を言います。原因は、胆管閉塞、脂肪肝、肝腫瘍、胆管肝炎、肝臓関連性外の全身性疾患(寄生虫、ウイルス、薬物、毒素、内分泌)、外傷などが挙げられます。
眼の内側に位置する瞬膜(第3眼瞼)が黄色に変化しているのが分かります。
*自宅での黄疸チェック法として、皮膚の色よりは、結膜、軟口蓋(内上顎の部分)を観察すると黄色く変化する黄疸を発見しやすくなります。
●治療 2週間後
嵐は、上記の鑑別リストから除外診断を行い、胆管肝炎と診断しました。そして、抗生剤の投与を開始し、栄養給与は、鼻チューブによるサポートを行いました。一時は、瀕死の状況でしたが、当初のビリルビン値7.7が現在は、0.7に低下し、現在はもの凄い食欲が出ました。
*嵐君は治療が気に入ったのか、診察台の上から降りようとせずモミモミとご機嫌です。目が合うと「何かクレ〜」と訴えます。
実習生の感想文 [実習生感想文]
先日はお忙しい中、実習を受け入れてくださり有難うございました。1回目の実習で、『今日よりは明日、明日よりは明後日と常にレベルアップに努め、患者さんのために自分ができる最高の努力を積み重ねていくこと』という貴院の心得に共感し、再び実習を希望しました。今回の実習では、院長先生をはじめ、スタッフの皆様の診察や看護を拝見し、動物に対して思いやりと優しさを持って接していることを強く感じました。『優しさと思いやりを持って動物と飼い主の幸せに貢献する』という気持ちを常に考えて動物の保定や看護に携わっていきたいと思います。また、オゾン療法は適用疾患が多く、初めて治療をされる動物の飼い主さんに看護師の方がわかりやすく説明されているのを拝見し、飼い主さんも安心して任せらるんだと思いました。
1回目の実習以上に、スタッフの皆様の動物に対する愛情と飼い主さんの幸せをはかる心を拝見し、ますます貴院に魅力を感じる実習になりました。
今回の実習でご指導いただいたことや拝見したことを活かして精一杯の努力をしていきたいと思います。7日間本当にお世話になりました。有難うございました。
今後ともご指導のほど宜しくお願い申し上げます。
倉敷芸術科学大学 生命科学部 生命動物科学科 3年 安藤絵里加











