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2023年02月07日(火)
犬の会陰ヘルニア [News]
●レイ ダックスフンド ♂ 12歳
「7日前から尿が垂れ流し状態になった」主訴で来院されました。
お尻を観ると、右側の肛門横が著しく腫大し
触るとそこには尿で一杯になった膀胱の存在がありました。
これは正しく会陰ヘルニアです
過去最大の大きさ(脱出状態)でした。
お話を伺うと
3年前から便がまともに排出できず
かかりつけ医で定期的に便を出してもらっていたと聞きました。
そして、今回はいよいよ拡大した膀胱と
大量の便を含む直腸が飛び出て閉塞し
どうにもならなくなった状況で来院されたようです。
●血液検査
このまますんなり手術の運びとなれば良かったのですが
血液検査で肝臓と腎臓の数値が引っかかりました。
量子測定を行うと
腎臓に寄生虫、肝臓にウイルス、心臓に細菌の寄生が見つかりました。
●2か月後
状態の悪かった臓器を整えるのには2か月を要しました
病原体の除去と同時に樹状細胞の活性化、細胞膜の修復を行いました。
細胞膜はリン脂質で構成され
細胞内外の伝達調整を行う特に大切な部位になります
多くは寄生虫により破壊されていきます。
●直腸固定術
直腸が側方に変位したいたため
お腹を開けて上方に引っ張りながら、側方腹膜に固定しました。
●会陰ヘルニア整復
脱出した膀胱と直腸をまずお腹にもどし
周辺の筋肉と骨盤に付着する内閉鎖筋を剥がして反転させ
その穴を塞ぎました。
●口腔内処置
犬歯の抜けた大きな穴の整復も依頼がありました。
このままでは、食べたものが鼻から排出され
不快感が続くので併せて手術を行いました。
大きめのフラップを作成し穴を修復しました。
●10日後
抜糸の時が来ました。
便はすんなりと自力で排出できるようになり
飼い主さんから感動の言葉をいただきました。
術後管理を確実に確保するために
朝の5時から手術を始め5時間を要しましたが
幸い目覚めも良く翌日には帰宅できました。
徹底した疼痛管理を行なったものの
数日の痛みの絶え良く頑張ってくれました。
何もかも一度にまとめてするのではなく
もっと早期に対応できれば辛さも、痛みも半減したと思います。
皆さんもご注意ください。
便でてめでたしめでたし☺
19時41分