広島県呉市「石崎動物病院」

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循環器

犬の心タンポナーゼ [News]

●20歳、Mix、♀、ぺこ
以前から咳をしていたが、「急にショック状態が発生し、舌の色が白く変化し、眼振を発生、7転8倒の苦しみがあった」と来院されました。
既に他院にてメニエルと診断されていましたが、眼振は治まっていました、呼吸が重いことと咳が気になり、まずは身体検査とレントゲン検査の許可をいただきました。

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●レントゲン写真
心臓の拡張がみられ、特に右の前方域は大きき膨らみ塊状病変を疑わせます。また、胸水もわずかにあるようです。

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●超音波検査
心臓に近い側とその外側に液体貯留を認めました。超音波では、袋内の液状がそれぞれ異なる様子が見られます。
また、心基底部に腫瘍らしき塊が見られます、確定診断はできませんが、血管肉腫が想像されました。

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●穿刺液
左が100ml、右が400ml、いずれも心嚢穿刺から採取された液体です。袋が2層になっていて心臓に近い側が左、胸に近い側が右で異なる様相を呈し超音波所見と同じ内容でした。
穿刺後の心臓の検査では、僧房弁閉鎖不全が見つかりました。穿刺液の細胞診では異形細胞は見られませんでした。

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●処置後
著しかった咳は直ぐに治まり、食欲も改善されました。心臓周囲にに合わせて500mLもの貯留液が溜まり、その圧迫で咳と食欲不振が発生していたと想像されました。

●腫瘍対策
20歳ともなると当然老化による酸化は発生しますが、根本的な腫瘍発生の問題である酸化の原因を見つめなければなりません。酸化の原因は、大気汚染、添加物、化学物質、重金属、水道水、電磁波の影響、精神・肉体的ストレスなどから発生し、長年の生活習慣から悪化します。それぞれを点検しながら、全てを改める意識と行動力が今後の未来を分けます。じっくりと飼い主さんとお話を進めながら、酸化を還元する実践行動を積極的に行っていかなければなりません。ちなみに、当院では抗癌剤は使用しません。なぜならば、抗癌剤は、酸化還元電位で表現すると2000mVもの高酸化力を持つ代物で、活性酸素により酸化が進んだ状態をさらに酸化させて、強力に足を引っ張る要因になるからです。


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犬の非心源性肺水腫 [News]

●シーズー 3ヶ月  ♀  トミー
1月2日、お正月真っ只中、10時頃。「最近、咬みつきが酷くなり、躾として口を持って押さえつけたんです」と優しそうなご主人から緊急に電話が入りました。直ぐに来ていただくと、それはそれは優しいご主人が心配そうにトミーを抱えてやってこられました。3カ月は、元気溢れる年齢です。しかし、大人しく打ち沈んだ感じが見られます。急ぎ身体検査を行うと、ヨダレ、口腔粘膜の蒼白、脈圧が弱く感じます。努力呼吸はありますが、肺での捻髪音は聞こえません。
鑑別診断のために、レントゲン、心電図、超音波、血液検査を行いました。

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●要因
稟告と超音波検査(逆流なし)で心因性肺水腫を除外し、非心源性肺水腫をリストアップしました。リストは@神経原生A電気コードをかじるB上部気道閉塞が挙げられました。今回のお話から、押さえつけられることによる気道閉塞と怖かったのでしょうか、カテコールアミンの放出により全身血管が収縮し、肺循環へ血液が一気に流れ込んだ影響で過負荷が起こり肺水腫が発生したと考えました。

●肺水腫(レントゲン写真)
肺は空気を含むのでレントゲン上では黒く映ります。肺に水が溜まれば白く変化し、さらに気管支が浮き出る像(エアーブロンコグラム)が特徴的所見です。

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●治療
レントゲン写真と臨床症状から利尿剤の血管内注射を行いました。血圧低下もあることから併せて強心剤を併用しました。20分すると利尿剤の効果で尿が大量に排出されました。さらに10分後には、苦しい呼吸困難から解放され、鳴きながらチョロチョロ動くまでに回復しました。
念のために夕方まで預って帰宅する予定です。

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●反省
過去の経験では、非心源性肺水腫は電気コードをかじった例しか経験がありませんでした。今回、優しく真面目なお父さんが、躾の為に行った行為でしたが、普段が優しいのでよほど怖かったのでしょうか?動物の性格に合わせた適度の躾が必要であることを学びました。


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