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胃チューブと過ごして早1年 [News]
●ミーコ 12歳 ♀
以前紹介した慢性腎不全のミーコちゃんです。10日おきに造血ホルモン(2週間おきでは貧血を生じる)を射ちながら、そしてお腹にチューブをいれながら早1年2カ月が経過しました。以前は、毛艶も悪く痩せていましたが、今では元気一杯です。とても12歳には見えないでしょう!(笑)口から食事もできるのですが、飼い主さんの希望でチューブを残しています。遠くは倉橋から真面目に定期的に通われています。飼い主さんの愛情を一杯受けながら幸せたっぷりのミーコの再登場でした。(拍手〜!)
●胃チューブとは?
栄養補給のために装着する管のことです。口、喉の病気、食欲不振、腎不全、腫瘍など時に通常、内視鏡で設置します。利点は、食欲不振がある場合に栄養補給がまかなえることです。また、腸は使用しないと粘膜のひだが委縮してしまうので長期の絶食は好ましくありません。時に、飲みにくい薬を投与することもできます。
設置に要する時間は約10分です。負担もほとんどありません(慢性腎不全、腫瘍末期などで状態が悪い場合は除く)し、その後の管理も難しくありません。チューブ装着に抵抗を持つ飼い主さんが多いですが、チューブを付けることで病気の回復を助け、ミーコの様に元気を維持することが可能です。ちなみにミーコは、口からも食事を戴いています。
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尿検査について [News]
●尿検査の意義
この尿に血液が混ざっているのがわかりますか?しかし、黄色く見える尿でも、見た目では血尿が分からない事がしばしばあります。また、尿検査は、血液の混入だけではなく、泌尿器系(腎臓や膀胱など)の異常や代謝異常(例えば糖尿病)を発見する手掛かりとして大いに役立つ有益な検査です。
●ストラバイト結晶
尿中のpHが高くなると認められます。少量であれば正常ですが、これが大量に認められると尿道閉塞を起こす原因になったり、大きな石が存在することがあります。また、血尿、膀胱炎を併発することもあります。
●蓚酸カルシュウム結晶
尿中のPHが低くなると認められる結晶です。最近は、上記のストルバイト結晶を防ぐ食事が多くの会社から販売されています。その食事をいただくことにより、PHが低くなりすぎて、蓚酸カルシュウム結晶が頻発するようになってきました。正常でも少数は観察されますが、多量であれば治療が必要です。
●ビリルビン結晶
犬では、濃い尿で観察されることがあるのですが、猫では濃い尿でも異常で、黄疸が出現している可能性があります。
●顆粒円柱
細長いものが顆粒円柱です。腎臓の尿細管に炎症があると、その管に詰まった細胞の塊が尿中に出現します。腎臓障害を早期に発見したり、その出現する量により障害程度を把握することに役立ちます。尿比重を同時に測定することにより、腎臓の機能状態を知ることができます。
●細菌と好中球
尿を3mlほど集めて遠心分離し、そこに集まった沈殿物を観察します。ツブツブと一面に散らばっているのは、細菌の塊です。また、右側に大ききく丸く見えるものは好中球です。細菌性膀胱炎では、この様な所見を認めることが多く、尿培養はかかせません。
●まとめ
この様に僅かな「尿」で多くの情報を入手することができます。また、普段から定期検査として手軽に行うことができ、体調管理、病気の早期発見にとっても有意義な検査です。
血液検査を大切に思われている飼主さんは多いのですが、尿検査の情報量の素晴らしさをもっと意識して定期的に行うことが大切です。
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猫の尿道閉塞 [News]
●ロッシー 6歳 茶トラ
一昨日あるいは昨日から尿が出にくいと来院されました。
身体検査をすると、尿は出ているのですが、血尿。しかし、膀胱炎にしては、元気がありません。簡単な血液検査をしたところ、尿毒症の所見がでています。考えられる事は、数日内に尿道の閉塞が起こり、尿毒症になる。そして、嘔吐が始り(飼主さんからは明確な情報はありませんでしたが)脱水が進み、虚脱状態に陥ったと考えられます。
●尿閉塞
♂猫では、尿がペニス先端部で小さな結石(あるいは血餅)で閉塞してしまうことがしばしばあります。この閉塞状況を放置すると確実に死亡します。多くの原因は、食事の影響、膀胱炎により結晶が作れら閉塞してしまうことです。
●処置
まずは、血液検査により電解質の状態を検査し、異常があれば、麻酔を行える状態に回復させます。そして、尿道から暴行までカテーテルを挿入して洗浄、次にそのカテーテルを滅菌閉鎖回路につないで3日間ほど、再び尿が閉塞しないように管理します。
ロッシーは、午後には凄く元気をとりもどしました。約3日後には退院の予定です。
考えられる原因は、食事から過剰に摂取したミネラル(Mg,P,Ca)や代謝異常により尿中にミネラルがたくさん排泄され結晶化すると言われています。
●飼主さんへ
普段から、尿の状態(回数、色)を注意深く観察しましょう!