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2012年11月10日(土)
犬の慢性血尿2(移行上皮癌の疑い) [News]
●ラム ♀ 12歳 シェットランド・シープドッグ
「4か月前から血尿と頻尿が続く」「耐性菌ができたのでは?」とセカンドオピニオンを求めて来院されました。
早速、陰部を拝見すると血尿らしきものが付着していたので、身体検査後に超音波検査を行いました。
●超音波検査
今回のケースでは、既に膀胱のほとんどが侵され、片側の@尿管の腫瘍浸潤あるいはA膀胱三角部の腫瘍による閉塞により閉塞が起こり水腎症を発症していることが考えられました。
上は膀胱内でカリフラワー状に育った腫瘍です。
下は尿管閉塞による水腎です。
●移行上皮癌
細胞診の結果、移行上皮癌を最も疑いました。
下部尿路における悪性腫瘍は全体の1%といわれ、その中でも移行上皮癌が最も発生率が高いといわれます。
移行上皮癌は、シェットランド、シーズー、ビーグルなどが好発犬種であり、発見された時点で既に激しく進行している場合が多くあります。早期に発見され、膀胱三角部(尿管が開口している部位)がおかされていなければ、積極的な膀胱切除により予後が良い場合があります。
●外科手術の介入
膀胱を全摘出して、尿管を腸に移設する手術の選択肢もお話しましたが、年齢を考慮して出来るだけ痛み、苦しみの少ない生活を維持できることに重点を置く内科治療を選択されました。
よって、最終診断である膀胱から組織を採取し病理検査を行うことは望まれず、その費用を内科治療に回すことになりました。
15時01分