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2015年01月07日(水)
犬の大静脈症候群 [News]
●コロ 柴犬 16歳 ♂
年末に入り、飼い主さんが、愛犬の
調子が悪いことに気が付いたのが7日前だったそうです。主訴は「食欲なし、動かない、下痢」でした。急ぎ検査を行うと、貧血、黄疸、肝不全、腎不全の結果が検出されました。聴診では、特徴的な雑音があり、超音波検査でフィラリア(犬糸状虫)の虫体を確認しました。
●超音波検査
沢山の虫が心房と心室間を行き来しています。これで間違いなく、三尖弁(右側の心臓の弁)に虫が絡んでいることが分かりました。
●摘出虫体
まずは、点滴を行い。その日の夕方に手術を行い、摘出虫体はご覧の通り22匹でした。悪い条件(腎、肝不全、貧血、16歳)の中、麻酔をコントロールすることが大変でしたが、短時間の内に手術が終了し、身体にかかるストレスを最小限に抑えれたことが何よりでした。
●術後看護
フィラリア虫体閉塞による急性腎不全、肝不全は、術後6日目で50%回復しました。時間経過と共に貧血も改善すると予測されます。「2月に可愛がっていた娘さんにどうしても会わせたい!」との希望があり何とかお力になれればとの思いでした。これで肩の荷が下りた気分です。来年から予防を欠かさず、20歳を目標に頑張って欲しいと思います。
下は摘出後の超音波所見です。
●予防薬投与が大切
人間が作り出す薬には、多かれ少なかれ副作用が発生します。当院の方針は、出来るだけ薬は使用しないこと、使用した際には、出来る限り短期間であることを原則にしています。当然犬糸状虫の予防薬にも毒性はありますが、虫体が寄生することを鑑みると、予防が優先されます。
13時31分