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2015年01月30日(金)
犬の骨肉腫 [News]
●ヴィヴィアン 4歳 ボルゾイ ♀
主訴は「足を着かなくなった!」でした。病歴は、「車から降りるときに足を引っかけそれから着地しなくなった」です。急性とのことで膝の十字靭帯断裂をまず疑い、鎮静をかけて精査させていただく事にしました。鎮静で筋肉を弛緩させて膝を検査するも断裂時の前方へ滑るサインはみられません、しかし時に痛みを発します。飼い主さんの「骨肉腫の可能性はありませんか?」の一言で、「ハット」。今度は、骨に圧力をかて観察することにしました。すると部分的に痛みの反応あり、嫌な予感を持ちながらレントゲン撮影に進みました。
●診断
レントゲン写真は、骨肉腫を思わせる所見がありました。典型的な骨膜反応は、太陽の炎所見ですが、ヴィヴィアンは軽度の骨膜反応があり、加えて骨髄における虫食像が認められました。
青:虫食い像
赤:骨膜反応
☆骨肉腫の典型的な特徴は、大型犬の中年に長骨骨幹端の近位.遠位1/3部に発生すること。レントゲン像では、@不規則あるいは太陽の炎様骨膜反応A骨皮質の崩壊B境界不明瞭な正常骨と異常骨の移行帯などが典型的所見です。
●健康肢
上記の患肢と比較するとよく分かります。
●骨髄塗抹
骨肉腫の治療は、早期の切断処置が常です。しかし、レントゲン写真と痛み所見のみで断脚をする訳にはいきません、追加検査により診断を確定する必要があります。急ぎ、骨の一部を採取して骨髄の塗抹と病理検査を行いました。
塗抹所見(以下の異常が認められました)
@核の大小不同
A核/細胞質の上昇、ばらつき
B粗造なクロマチン凝集
●病理検査
残念ながら結果は骨肉腫でした。
骨肉腫の予後は決して期待できるものではなく、多くは肺へ転移します。先ずは、著しい痛みを除去し、今後の治療はいくつかの治療オプションを飼い主さんとじっくり話をしながら決めたいと思います。
●断脚術
上記の結果により、右後脚を股関節を含めて全て除去しました。
●術後翌日
激しい痛みで涙を流した数日が嘘のようで、良い表情になりました。翌朝は食欲が出てササミを平らげました。
骨肉腫情報
犬の骨肉腫は、骨腫瘍の80%を占め人の発生率の8倍あり、18〜24か月と7歳齢の2峰性の年齢分布が見られます。鑑別診断には、血管肉腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨の真菌、細菌感染があります。誠に残念ながら極めて悪性度が高く生存期間は長くないと言われます。
●予後
予後は良くないと言われますが、ネガティブな発想は止めて、希望を持って楽しく笑顔で過ごしていただきたいと思います。
本来備わる自然治癒力を呼び戻し、力を抜いて前向きに頑張りましょう!
21時35分