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オゾン療法セミナー [News]
針治療について [News]
●サンタ ♂ 15歳
以前、腹腔鏡で肝臓を採取し、病理組織学的診断では「門脈低形成」と診断されました。その後、感染性肝疾患と思われる症状が出現し、抗生物質の長期投与を行ったこともありました。この度、急に元気が無くなり、足が弱り、下痢があるとの主訴で来院されました。
●針治療
腹腔鏡で診断以降、肝臓の酵素値は上昇していましたが、元気でした。食欲がない、下痢が続く症状に関しては、食事療法を行いました。足のふらつきに関しては、筋肉の虚弱化がみられたので針治療を選択させてもらいました。
●経過
全体的に歩きに力が入らず、特に右足に顕著な症状がありましたので、右足を中心に治療し、また同時に以前から悪い肝臓、治りにくい下痢に対して小腸のツボを中心に約15分程の置針を行いました。治療回数5回目で、足取りもしっかりし、下痢も止まり、食欲も安定してきました。
●コメント
針治療は、この度の変性性関節炎と思われる変性病変を完治させることはできませんが、「虚」している全体の流れを改善し、萎えた筋肉を刺激し歩行を改善する効果はあります。今回の3日おきの針治療で、飼い主さんも僅かな変化には気づいていただくことができました。そして、5回目には、目に見えて「なんか、針で良く動けるようになった気がする、下痢も止まった!」と喜んで戴きました。
私の方針としては、東洋医学であろうと、西洋医学であろうと飼い主さんと動物に合った方法であれば、どちらを選択しても構わないし、あるいは、両方を併用すべきとも考えています。
とにもかくのも、動物が快適で病状が改善することが一番なのです。
肺炎と気管虚脱 [News]
●花子 15歳 ♀ ポメラニアン
同居犬の針治療の付き添いご縁をいただきました。数回目の来院際に、「ほんじゃ、この子もついでに見てください!」とはじまり、身体検査をさせていただきました。その時の検査で、乳腺腫瘍数か所と歯周病を発見することができました。善は急げで、早速に手術予定を計画し、術前の検査(身体検査、レントゲン、血液検査)を行いました。結果は、軽度の気管虚脱と重度の歯石堆積でした。15歳ですが、血液検査にまったく異常はなく、来週の手術になりました。
●乳腺腫瘍摘出
乳腺腫瘍を以前に、他院で2回切除されていたそうです。今回、身体検査で1カ所の小さな(2mm)塊を発見しました。麻酔をかけて詳細に調べてみると、5つの腫瘍が発見されました。
●口腔内検査
口の中を検査すると、歳なりにそれは、それは、ひどい状況で、ほとんど歯が抜け落ちていました。そして、
残る歯は全て著しい動揺が見られました。口腔内検査による歯周靭帯は跡形もなく、全て抜歯することにしました。
●フラップ
抜歯後の穴は、常法通り粘膜のフラップ(弁)を作成して、骨をわずかに削り、抜歯後の穴を閉鎖しました。この処置をしないと、術後に鼻水が止まらない、くしゃみが続くなどの不快症状が残りますので、必ず処置することをお薦めしています。
●乳腺腫瘍
大きさと発生部位から局所切除を選択しました。右端の腫瘍は2つの腫瘍を含んでいます。
病理結果
5か所の内、3か所が悪性腫瘍でした。全てにおいて完全切除と脈管侵襲像(転移)が見られず安心しました。
●術後肺炎
手術後の翌日、ささみを少し食べ、徐々に麻酔の影響から解放されつつありました。しかし、術後3日目から突然咳き込む様になり、徐々にその咳がひどくなりました。ついには呼吸困難を生じる様になりました。レントゲン撮影と血液検査から、誤嚥性肺炎と重度の気管虚脱を発見しました。症状は悪化し、咳がひどく呼吸困難を招くときには、舌を引っぱってサポートしてあげないと呼吸できない状況にいたりました。
日中は、ICUで管理し、夕方に帰宅する日々が続きました。ICUで過ごしている4日目についに呼吸が停止し、気管チューブ挿管、その他緊急処置にいたり、生死の危機が訪れました。幸いに、その翌日からは、徐々に咳が減り呼吸状況が改善、7日後には以前の症状が嘘の様に消え、元通りに回復しました。
●考察
高齢の患者さんに麻酔をかける際には、術前の身体検査、レントゲン検査、超音波検査などを必ず行い、安全性を高めてから手術にはいります。。今回は術後の誤嚥性肺炎により、持病の気管虚脱が発症し、重篤な状況に落ちいってしまったことが想像されます。
一時は、飼い主さんも、我々もヒヤヒヤしながらの毎日の日々であり、大変ご心配をおかけしました。突然の展開ながらも、飼い主さんのご協力で無事に回復できたことを心より感謝したいと思います。朗報は、緊急処置で肺胞を強制的に膨らませたせいか、術前より換気の良い肺がレントゲンでも観察され、以前より呼吸状態がよくなった気さえします。
高齢になると喉の嚥下機能が低下します。よくある老人が餅を喉に詰まらせてしまう様なケースです、故に誤嚥性肺炎がなどのリスクも発生します。年を重ねるほどリスクは増加し、進んでできるものではありません。しかし、恐れていては必要な手術ができません。手術を伸ばすことで、手遅れになったり、悪化してからではリスクが高まります。
「ドキドキの経験ではありました」が、引き続きスタッフ共々、最善の安全安心の手術と管理を行ってまいりますので、飼い主様のご理解ご協力を宜しくお願いいたします。