広島県呉市「石崎動物病院」

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犬の大腿骨骨折 [News]

●柴犬 ♀ 杏子 8歳
脱走して数日後に帰宅すると足を引きずっていたそうです。

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とにかく神経質で、飼い主さんも触ることができません。噛みつき泣き叫ぶところを、申し訳ないのですが無理に把持して血液検査と聴診をして、安全を確認後、鎮静剤を投与しました。骨盤が折れていないことを祈ってレントゲンを撮影しました。

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●手術
整形外科は、手術の中でも痛みの強い手術です。術前に硬膜外麻酔を施し、持続的に麻薬を投与しながら行います。手術の種類は、骨の中にピンを入れる方法、プレートとネジで固定する方法、皮膚の外からピンで串刺固定する方法がありますが、性格、環境を考えてプレート固定を選択しました。
骨は3か所に割れていました。中間に浮遊している骨を先ずネジで固定し、次に上下を合わせてプレートで固定しました。

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●術後
術後は、痛みの管理を継続するために、麻薬のシールを貼ったり、あるいは、持続的に麻薬を血管から流します。

●手術器具
整形外科は、たくさんの機材が必要になります。プレートを装着するための、ドリル、ドリルガイド、プレート、プレートの形を整えるベンダー、各種長さのネジ、ネジ穴の長さを図るゲージ、骨を固定する各種鉗子などなど。手術後の後片付はとても大変になります。「看護婦さんご苦労様!」

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私は、20年前にアメリカでこの手術の実習を指導いただき、そして機材一式を購入しました。今は、進化したプレートが出てきていますが、基本は昔も今も変わりません。

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高齢猫の慢性腎不全と腸閉塞 [News]

●慢性腎不全 17歳 三毛猫 チャトラン♀
慢性腎不全と口内炎と病院で診断され、自宅で皮下に点滴をされていた猫ちゃんが「食欲不振」で来院されました。

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飼い主さんの希望は口内炎の診断でした。しかし、口腔内検査を行うと、たいした炎症はありません、この軽度の炎症で食欲不振になることはありません、指示されていた食事の内容を手作りに変更して、脱水もないので当面自宅での点滴を中止して戴きました。

●嘔吐
順調に美味しい手作り食を頂いていて調子が良かったのですが、再び突然食べなくなったそうです。「点滴を辞めたので腎不全が進行し嘔吐が出てきた」と診断されたそうで、再び来院されました。

●レントゲン造影と超音波検査

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身体検査では、どうも腹部に液体貯留した腸管が気になり、触診をやや嫌がる部位があるように感じます。飼い主さんに相談し、超音波検査とレントゲン検査の許可を戴きました。バリウムを使用しなかったため、レントゲンでの写りがシャープではありません。造影剤が長時間停滞している異常状態がありました。

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●試験的開腹
総合的な判断から、飼い主さんに試験開腹の許可を頂きました。腸管を引き出すと充血した腸管が見つかりました。想像通りでまずはホッとしました。精査すると、腸管3か所と膵臓に腫瘤が見つかりました。

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●腸管縫合
5cm程の充血部と他の2か所は、腸管に小さな腫瘤が発生していました。充実部を切断縫合し、さらにもう一か所、狭窄しかかっていた腸管を同じく切除縫合しました。

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●膵臓の腫瘤
右手の指先に位置するのが膵臓の腫瘤です。腸管と同じく病理検査へ提出しました。

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●やはり狭窄
腸管を切開すると、狭窄している部分が分かりました。これで今までの嘔吐の原因が解決しましたが、この犯人は、腫瘍(リンパ腫?)を疑っています。

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●膵臓の採材
上記の膵臓内病変です。肉眼所見は論外ですが、スタンプ検査でも、十分な評価ができないことあります。ある程度の大きさの組織を病理検査することで正しい診断を得ることができます。

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愛情たっぷり「元気弁当」

●術後経過
突然の思いもよらぬ手術展開にもかかわらず、飼い主さんは、「全て任せます」とお返事いただきました。高齢となると多くの方が手術を躊躇されます。お会いして僅か数回に関わらず、全てを委ねていただいたことに心より感謝申し上げます。
しかし、術後の回復は当初思うようではありませんでした。また、2日目に嘔吐があり、再度の狭窄を心配しましたが、4日目には、飼い主さん手作りの愛情たっぷり「元気弁当」を「パクリ」と食べ、飼い主さんと一緒に皆で喜びました。
今後の回復に全力を尽くし一刻も早い退院を目指します。

●今日届いた病理結果
日に日に快復が見られ、食欲も増加し、嘔吐はその後ありません。
しかしながら、小腸2ヶ所は腺癌と高分化型のリンパ腫、そして膵臓はリンパ腫の転移と慢性膵炎でした。
高齢であること、消化器型リンパ腫であること、抗癌剤は免疫を低下させてしまうことを考慮して、今後は食事療法、オゾン療法で免疫増強を中心に治療させていただきます。
チャトラン穏やかに頑張るぞー!


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高齢犬の会陰ヘルニア [News]

●レイ ダックス ♂ 10歳

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ヘルニアとは臓器が外に出ることを言います。そして、臓器がでる部位によって呼び名が異なります。会陰部とは、肛門の両側方を言います。その部位にヘルニアが生じると会陰ヘルニアと呼びます。このレオンちゃんの場合、肛門の下に水膨れがあると来院されました。確かに液体が貯留していましたが、肛門から検査をすると左右にヘルニアがあります。(水膨れの原因は、血行障害あるは腹腔内の液体が漏出したためと思われました)お話を伺うと以前から便の出が悪かったそうです。解決法は手術しかありませんので、早速予約を入れました。

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●痩せた筋肉
高齢の会陰ヘルニアで見かけるケースですが、ヘルニアの穴を埋める際に使用する周辺筋肉が薄くなりすぎている場合は困ります。術者によっては、その穴に詰め物(シリコン、ポリプロピレン)などを使用してそのスペースを覆いますが、私は生体組織以外の作り物を使う方法が好きではありません。何とか薄い筋肉を剥がして苦心しながらヘルニアの穴を塞ぐことにしています。

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●術後
何事もないように終了していますが、手術中は、痩せて萎えた筋肉を探すのが大変でした。術後の再確認では、筋肉隔壁ができあがり、便がストレートに出る状態に整復できていたので、今後の便の出は良好と思われます。

さあ、皆さん!
会陰ヘルニアは、できるだけ早く見つけて、できるだけ早く手術をしましょう!


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