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痛みの少ない不妊手術 [News]
●トイプードル 1歳 ビビ ♀
ある日飼い主さんは、そろそろビビの不妊手術を受けようと思ってお散歩仲間に訊ねました。
「不妊手術はどう?」「う〜ん。3日間ぐらい痛がって歩けなかったし、食事も採れず、見ていて可愛そうだった。」「・・・・。」「我が家のビビは、痛みに弱いし、お転婆だし、もしも暴れて傷が開いたら心配だし・・・・。」
調べてみると、痛みがほとんどなく、傷が小さくなる腹腔鏡手術があることを知りました。
●腹腔鏡手術とは?
お腹にガスを入れて膨らまし、お腹の中で鉗子、メスを使って手術する方法です。通常の麻酔をかけて、各種モニターを装着し、完全滅菌の状態で4台の画面を見ながら、お腹に5mmの穴をあけて、カメラ、鉗子、超音波メスを挿入してお腹の中で手術が行われます。
●手術の利点
@お腹を大きく開けないので、体温が低下するリスクが減ります。体温が低下すると麻酔がさめにくくなります。
A切開創は5mm、3か所なので非常に小さな傷になるため痛みが各段に少なくなります。通常の手術で皮膚切開を小さくすることもできますが、その下の腹筋切開はある程度の距離が必要で、腹腔鏡の様に本当に小さな傷にはなりません。
Bお腹の中で操作するので、腹部臓器を触ることがなく、卵巣を強く引っ張り上げることもないので、手術中に痛みを感じることは全くありません。
C超音波メスを使用するので、血管を切断すると同時にシールされるので、出血はありません。
D手術後にお腹の中の出血確認をカメラ映像で確実に行えるので安全です。
E子宮、卵巣以外に、肝臓、腎臓、膀胱、脾臓、胆嚢、腸管、膵臓、副腎が観察できるので、その他の異常を発見することができます。(以前、慢性肝炎が見つかりました!)
F傷が小さいので、手術後に直ぐに歩け、もし傷が裂けても臓器が飛び出る危険はありません。
●術後
手術3時間後のビビちゃんです。まだ眠そうな目をしています。5時間後には、尻尾をふって、元気に走って帰宅できました。
腹腔鏡不妊手術は、間違いなく動物に優しい手術です。しかし、術者の手術手技と麻酔管理者に熟練を要することが必要です。
当院院長は、腹腔鏡外科手術歴7年、約500例の実績を持ち、手術時間は約15分です。安心してお任せください。
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スタッフ募集! [News]
心不全(僧房弁、三尖弁閉鎖不全)の経時的変化 [News]
●メル 11歳 チワワ ♂
「食事と病気にならない生き方について教えて!」と遠方からいらっしゃいました。以前心臓喘息?と言われて薬を飲んでいたそうですが、今は飲んでいないという情報もいただきました。身体検査で心臓の雑音(Levin2/6)が聞かれたので、レントゲンと超音波検査へ進みました。
●初日
●1年後
●2年後
●対策
人間であれば「心臓の弁」の交換をおこなうこともありますが、我々小動物分野では、心臓の弁の表面に変性を生じたものは、通常は進行をゆっくりとする方法しかなく、心臓薬を適宜飲ますことになります。
適宜とは、病状の進行に合わせ、レントゲンで心臓の大きさ、肺水腫の有無などを、超音波では、大きさ、収縮力、流出速度、逆流速度、E波などを測定して、心臓薬を選択します。早い段階で利尿剤などを処方すると心不全が進行することになるので注意が必要です。
末期に近づくと、肺に水がたまりやすくなります。常日頃の「心拍数」「咳」の状況を自宅でモニターリングし、異常があれば特に末期では駆けつける必要があります。
このメルちゃんも腹水貯留、2度の急性肺水腫で緊急処置後、回復した経験を持ちます。現在は、たくさんの薬をのみながら維持しています。正しく薬を飲んで、ゆったりと心地よい質の高い生活を目指し、長生きして欲しいと思います。