広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

News

RSS1.0


急性膵炎による胆管閉塞 [News]

●主訴
「食欲低下。数回の嘔吐、下痢は無し。」で来院されました。血液検査では、重度の黄疸がありましたが、溶血、貧血はなし。肝酵素、C‐反応性タンパクの著しい上昇がありました。黄疸の鑑別をするために、肝臓、胆嚢の状況を次の超音波検査で調べることにしました。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

●胆管閉塞
胆嚢と、大きく拡張し蛇行した胆管が異常を示しました。この状況は、胆石、腫瘍、膵炎などのよる閉塞が考えられます。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

●膵臓
12指腸の下側に見えるのが膵臓です。著しい炎症像は感じられませんが、黒く見える部分は組織壊死の可能性があります。膵炎の特異検査の提出を急ぎました。結果は、急性膵炎強陽性でした。これより、炎症を抑える点滴療法と食事療法を開始しました。

5日間は、黄疸が改善せず炎症の数値も高値でしたが、6日目からは改善傾向になりました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●まとめ
急性膵炎の特徴所見は、上腹部の痛み、消化器症状(下痢、嘔吐)です。今回は、消化器症状はほとんどなく、数日間の食欲不振でした。常に教科書通りに病気が出現する訳ではないことを認識し、広い視野で病気を絞り込んでいかなければなりません。(だから大変なんですね〜!)

8日後のロッキーちゃんです。見た目の黄疸は無くなり、食欲も通常通りになりました。3日後の退院を楽しみにしています♪。


関連タグ :

  一記事表示

慢性嘔吐/幽門狭窄 [News]

●メグ 6歳 ♀ シーズmix

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

他の獣医さんから依頼いただいたケースでした。主訴は「4〜5か月前から時々嘔吐する」「最近は、食事後4−5日してくるとお腹がはって嘔吐する」「元気はあるが痩せてきた」でした。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●レントゲン撮影
先ずは、お腹のレントゲンを撮影して吃驚しました!
胃が著しく拡張し、お腹全域を占有し、膀胱の手前まで広がりを見せていました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●著しい食塊
麻酔をかけて内視鏡検査をする前に食塊の処置を行いました。数日間の食事が堆積していたと思います。15時間以上の絶食をしていたのにかかわらず、大量のドックフードが残っていました。食事が胃に残っていると内視鏡検査の視野が妨げられるので、胃洗浄を繰り返すことになりました。なんとその間、1時間!

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

●超音波検査
胃のガスと食塊を除去した後に再度超音波検査を行いまいした。胃の幽門部(胃の出口)が著しく肥厚しているのがわかりました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●消化管内視鏡
超音波検査通り、幽門部に肥厚が見られました。10か所の組織を採取して、病理検査へ提出しました。超音波検査では、胃の周囲のリンパ節の腫大がありましたので、悪性腫瘍の可能性を疑っています。なんとかこの状況を解決できるようにしなければなりません。

●病理結果
診断は、悪性腫瘍を疑う所見はなく、重度、形質細胞、リンパ球性、好酸球性、カタール性胃炎でした。抗炎症治療を早速はじめ、食事の検討を行います。まずは、悪性腫瘍でなく、よかった、よかった!


関連タグ :

  一記事表示

痛みの少ない子宮内膜症の手術 [News]

●稟告
14歳 Mix ♀ ラン
「尿を何回もする。食欲にムラがある。」との主訴で来院されました。血液検査では、異常なし。陰部より透明なオリモノと陰部腫大がありました。心臓の雑音は中程度。以前、来院時に心臓の検査をお勧めしていますが来られていません。今回、詳細な超音波検査(腹部、胸部)をお勧めしましたが、鎮静に抵抗感(もし何かあったら・・・・)があるため、予約をキャンセルされました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●超音波検査
その後、7日間経過しましたが改善の兆しなく、ついに食欲がなくなってしまいました。飼い主さんには依然鎮静の抵抗感があるため、鎮静なしで子宮だけを観察させていただきました。結果は明らかに子宮の異常があることが分かりました。麻酔が心配でしょうがない飼い主さんを説得し、翌日手術をさせていただくことにしました。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

矢印が異常と思われた子宮

麻酔前の鎮静で、胸部レントゲン、胸部超音波検査で心臓の状態を把握してから麻酔に入りました。この映像は、左心室の拡張能力を見ているところです。他に収縮力、逆流、左心房の大きさ、心筋の厚さを観察します。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

心臓の検査も同時に行いました

●腹腔鏡手術
年齢と痛みを加味して腹腔鏡で手術をさせていただくことにしました。通常の腹腔鏡を使用した不妊手術と手技は変わりませんが、卵巣、子宮が大きくなっていると靭帯と卵巣動静脈にかぶさり切断が難しくなります。また、切開創はその大きさに合わたギリギリの追加切開が必要になります。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●子宮摘出
腹腔鏡で手術したため、痛みが少なく当日帰宅できました
摘出した子宮は、内膜の変性が著しくあるのみで感染はありませんでした。私の経験では、この程度の状態で食欲が全くなくなることはありません。血液検査でも炎症像はありませんでした。果たして、この手術だけで元気になるものかと少し心配になりましたが、3日後には食欲は70%、元気は90%に改善されました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●乳腺腫瘍同時摘出
5ヶ所の乳腺腫瘍が発見されたので、同時に切除することにしました。ホルモンの影響を受ける乳腺腫瘍の発生予防効果は、初回発情前で不妊手術を行うと99.5%。1回目発情後92%。2回目発情後74%。2.5歳以降は予防効果なし。と言われています。
早期に手術を行えば乳腺腫瘍の抑制され、この度の卵巣、子宮異常につながらず、手術代の負担も少なっていました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

病理検査結果は、悪性と良性でした。いずれも切除範囲は完全で、これで一安心です。

    ”早期に痛みの少ない腹腔鏡で不妊手術を行い、安心した老後を!”

●抜糸
本日、抜糸を行いました(5mm×2、1.5cm×1の3か所)。すこぶる元気になり、飼い主さんも大喜びでした。飼い主さん曰く「もっと早く麻酔をかければよかった・・・・。」これで、麻酔の抵抗感もずいぶんと和らいだそうです。目出度し、めでたし。


関連タグ :

  一記事表示

過去の記事へ

ページのトップへ

症例検索キーワード

  • お問い合わせ
  • スタッフ募集
  • 石崎動物病院の日々

検索

最近の記事

リンク集

powered by a-blog

[Login]