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椎間板ヘルニア [News]
●椎間板ヘルニア
近年、ダックスフンドが流行し、飼育頭数が増えるとともに、椎間板ヘルニアを良く見るようになりました。椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある椎間板(クッション)がその上を走行する脊髄を圧迫するために神経症状(歩行障害、麻痺)を起こす状態を言います。軽度であれば、針、オゾン、レーザーと保存療法(絶対安静)で回復しますが、重度になると手術が必要です。ダックス、シーズー、ペキニーズなどは軟骨異栄養性犬種ですから、椎間板の外(線維輪)から中に存在する物質(髄核)が飛び出して脊髄を圧迫することが多いと言われます。
●MRI横断面
このMRI像で分かるように、写真のほぼ中央部部に親指の様に突出しているのが、ヘルニアを起こしている椎間板物質です。椎間板が圧迫しているタイプ(ハンセン2型)と、椎間板の中に存在する物質が飛び出し圧迫しているタイプ(ハンセン1型)があり、通常後者が激しい症状を呈します。
●MRI従断面
同じく、椎間板からニョキッと飛び出した物質が中央に見れます。その頭にグレーの色で薄く乗っているのが脊髄神経です。物凄く圧迫されているのが分かりますか!?
こうなると症状も重度であることが多く、できるだけ早い施術で、その神経を圧迫している椎間板物質を除去しなければ2度と立てなくなってしまいます。
●予防
何より太らせないことが大切です。しかし、痩せているからと言ってヘルニアにならない訳ではありません。腰を痛がる症状があれば、早めに来院して早期の治療を開始する必要があります。また、手術が必要かどうかの判断を早期に見極める必要があります。
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18歳「人差指、でっかくなっちゃった!」 [News]
●マリー ♀ 18歳
「高齢なので、手術をせずにいたが、腫瘍の先端部分が開き、やはり手術をするのが必要なのでは?」と呉市内の先生のご紹介で来院されました。
●大きな人差指!
早速、指の先端に大きくなった腫瘍が眼に入りました。この先端部が裂けなければ手術をするつもりがなかったとのことですので、良かったのか、悪かったのか?とにもかくにも、安全に切除して、術後に手術の影響が出無い様に、手術前の検査(血液検査、レントゲン、超音波検査)を入念に行いました。
●術後
浅い切除を行い、もし腫瘍が残ると再手術が必要になります。年齢的なことを考慮すると、完全切除を一度で終わらす必要があります。よって、指を含めて切除を行いました。指を一本失っても、生活への影響はほぼありません、腫瘍成長のスピードが速いので、上記の理由と合わせて広範囲の切除をお勧めしました。
●今後
術前の検査では、慢性腎不全が見つかりました。この年齢の猫ちゃんともなると、いたしかたない結果です。今後は、僅かに残る腎臓を大切にしながら、食事の管理、気のながれに注意して、一日でも長く幸せな日々が送れることを願っています。
ご紹介戴きました先生に感謝!
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猫の膵炎 [News]
●トラ次郎 ♂ 9歳 日本猫
「7日前から後ろ足の機能障害(着きたがらない)がある、また、同時期に軟便、そして、以前より腎臓が悪いと言われた!」と島根県の北部から3時間を要して来て戴きました。
身体検査では、問題の後ろ足は若干過重しにくい状況ですが、痛がっている様子はありません。遠方ですので、次回の来院の大変さを考慮して、鎮静下でレントゲン検査、その他をさせていただくことにしました。
●腎臓生検
超音波検査で腎臓の腫大と腎皮質の高いエコー性があったため、穿刺検査を行いまいました。猫ちゃんはリンパ腫が多いので腎臓の腫大があった場合には検査をお勧めします。
これは、尿細管上皮細胞で正常です。
●レントゲン検査
まずは、犬で多い前十時靭帯断裂を疑って、検査をしてみると、前方へ移動するサインが出ました!このサインが出現するとまず間違いはありません。他の異常も考慮して足先から骨盤まで撮影しましたが、特に異常なし。ということで、後ろ足は「前十字靭帯断裂」と診断しました。
●超音波検査
猫の膵炎は特徴症状がないので、例え軟便だけの症状でも腹部超音波を行うことにしています。検査を行うと、膵炎らしき映像が見つかりました。確認のために膵臓の特殊検査(膵リパーゼ免疫活性)を追加しました。ちなみに超音波検査の猫における感度は高くとも67%と言われます。
●結論
足は「十字靭帯断裂」膵臓は「膵炎」でした。猫の膵炎は犬の様に、特異的な症状がなく、診断がとても難しいと言われます。超音波検査像で膵臓の存在が明確になれば、膵炎を強く疑いたくなります、そして、免疫活性が高ければ膵炎を仮診断しても良いと思います。
トラちゃんは、すっかり軟便もおさまり、2度目の免疫活性も低下し状態は落ち着きました。