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2016年01月04日(月)
犬の非心源性肺水腫 [News]
●シーズー 3ヶ月 ♀ トミー
1月2日、お正月真っ只中、10時頃。「最近、咬みつきが酷くなり、躾として口を持って押さえつけたんです」と優しそうなご主人から緊急に電話が入りました。直ぐに来ていただくと、それはそれは優しいご主人が心配そうにトミーを抱えてやってこられました。3カ月は、元気溢れる年齢です。しかし、大人しく打ち沈んだ感じが見られます。急ぎ身体検査を行うと、ヨダレ、口腔粘膜の蒼白、脈圧が弱く感じます。努力呼吸はありますが、肺での捻髪音は聞こえません。
鑑別診断のために、レントゲン、心電図、超音波、血液検査を行いました。
●要因
稟告と超音波検査(逆流なし)で心因性肺水腫を除外し、非心源性肺水腫をリストアップしました。リストは@神経原生A電気コードをかじるB上部気道閉塞が挙げられました。今回のお話から、押さえつけられることによる気道閉塞と怖かったのでしょうか、カテコールアミンの放出により全身血管が収縮し、肺循環へ血液が一気に流れ込んだ影響で過負荷が起こり肺水腫が発生したと考えました。
●肺水腫(レントゲン写真)
肺は空気を含むのでレントゲン上では黒く映ります。肺に水が溜まれば白く変化し、さらに気管支が浮き出る像(エアーブロンコグラム)が特徴的所見です。
●治療
レントゲン写真と臨床症状から利尿剤の血管内注射を行いました。血圧低下もあることから併せて強心剤を併用しました。20分すると利尿剤の効果で尿が大量に排出されました。さらに10分後には、苦しい呼吸困難から解放され、鳴きながらチョロチョロ動くまでに回復しました。
念のために夕方まで預って帰宅する予定です。
●反省
過去の経験では、非心源性肺水腫は電気コードをかじった例しか経験がありませんでした。今回、優しく真面目なお父さんが、躾の為に行った行為でしたが、普段が優しいのでよほど怖かったのでしょうか?動物の性格に合わせた適度の躾が必要であることを学びました。
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15時44分