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2016年06月04日(土)
猫の子宮脱 [News]
●野良子 雌 ?歳
主訴は「出産後お尻から何かが出て、グッタリしている。」でした。出産後間もない子猫5匹を一緒に連れて来院されました。野良ネコ出身なので随分と怯えています、胎盤が出ているものと想像していましたが、そっとお尻側を拝見するとそれは胎盤ではなく、見事に子宮が反転して出ている、つまり子宮脱だったのです。
●反転した子宮
出産後に反転し時間が経過しているため、ずいぶんと傷んでいました。
●血液検査
早速、反転した子宮を戻し縫合し、手術の準備のための血液検査を行いました。問題だったのは、子宮脱による血液量(PCV)の不足、たんぱく質の不足が顕著でした。最低20%の血液量が欲しいのですが12%。たんぱく質であるアルブミンは最低2.0mg/dlは欲しいのですが1.8mg/dl。体温36.4(正常38.5)度。これらの結果より緊急手術は延期することにしました。
手術を延期して、まずは状態を改善する計画と決めました。しかし、それからが大変でした。体温はさらに低下し、食欲は初日のみ、低たんぱくが進み胸水が貯留し呼吸困難を起こす日々が続きました。さらには、脱出を戻した子宮が感染する問題が生じました。
対応には、胸腔チューブを10日間留置し、鼻カテーテルから栄養補給を行い、丁寧に献身的に看護を行うことで状態が徐々に改善し警戒心も取れてリラックスできるようになりました。
●卵巣子宮摘出
入院から16日目にPCV26%、アルブミン2.4mg/dl、食欲旺盛、呼吸正常に復したため手術を行うことにしました。
一時期感染して子宮から膿が大量に排出されていましたが、摘出時には綺麗な状態(下写真)に復帰していました。
●今日は抜糸の日
手術から10日目、抜糸に来院されました。生まれた5匹の子供達は3匹になっていましたが、出産後直ぐに親の代わりとなった飼い主さんは、大変良く頑張られました。
我々を思い出してくれたのか、抜糸の際には笑顔で迎えてくれました。めでたし、めでたし,良かったね。
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09時54分