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2008年08月24日(日)
お友達を粗末にしていませんか!? [News]
私は、学生の頃ラグビーをやっていました。
当時は、芝生のグランドなど存在していませんから、固い土の上での練習では、生傷が絶えませんでした。そして、毎晩、風呂上りにその傷口に薬を塗り込みながら、「いた、いた、痛〜。」「フーフー。」「ぎゃーぎゃー。」と、叫びながらの消毒処置を、今でも鮮明に思い出します。
当時の処置内容は、ヨーチンあるいは赤チン(赤チンは途中から水銀が含まれるので製造中止)をつけて、すぐにウチワで扇ぎ、傷を乾燥させることでした。傷には、「ヨーチン、赤チン」が合言葉で、その後、傷を乾燥させて早くかさぶたを作るという概念でありました。
数年前からは、傷には消毒薬、抗生物質をできる限り使用せず、湿潤状態にして治癒させることが正しい方法と言われるようになりました。なざならば、その消毒薬は皮下組織にダメージを与え、よけいに治癒を遅らせてしまうからです。今、考えてみれば子供の頃の消毒の痛みは、体が傷ついているサインだったんですね。
そうそう、それから「うがい」についても同じです。以前は、イソジンでうがいを繰り返し、風邪の予防を勧められていましたが、頻回にうがいを繰り返すことで、正常細菌叢を失い、カビが繁殖したりします。(しかし、風邪の初期のみは、ウイルスを殺菌するために良いようです。)
正常細菌叢とは、皮膚、口の中、腸に存在する細菌のグループのことです。また、その細菌のグループは良い物、悪い物と存在し、そのバランスは、上手い具合に調整されています。そして、バランスを保ちながら、他の菌の進入を防いでいるのです。それから、腸の細菌は、免疫にも関与しています。ですから、バランスが崩れると、皮膚、口では感染症、腸では下痢が起こります。
簡単に言えば、我々は細菌と共生しているのであって、けっして細菌を悪者と過剰に反応する必要はないのです。むしろ「お友達として大切にすべきなのです。」一時期流行った抗菌グッツなどは、ナンセンスであり、菌を殺すほどの化学物質が含まれる訳ですから、逆に恐ろしくさえあるのです。
傷治療に関する結論は、消毒薬、抗生物質をできるだけ使用せずに、傷を湿らせて、上皮再生を促し、自己修復力を応援することなのです。
自分の体に存在するお友達を大切に気づかって、自ら傷つけ、むやみに排除ることなく、自己免疫力を低下させないように意識する必要があるのです。
院長 石崎俊史
11時08分