News
2009年09月26日(土)
犬の乳腺腫瘍 [News]
●のん ダックスフンド 8歳♀
今年5月に他院で5個の腫瘤を摘出、6月の生理後に新たに8個出現。今回、腹腔鏡卵巣子宮摘出術と乳腺腫瘍摘出手術を合わせて希望されたために、遠くは香川県からいらっしゃいました。(お疲れ様です!)
●胸部レントゲン
乳腺部の腫瘤が腫瘍かどうかわかりませんが、悪性の場合には、遠隔転移としてリンパ節、脾臓、肝臓、肺へ飛ぶ可能性がありますので、手術前にレントゲンと超音波で術前検査をおこないました。
レントゲンによる胸部転移の確認は、右下、左下、うつ伏せの3枚の写真を撮影します。
●乳腺摘出
4、5乳腺に数個の腫瘤を認めたため、乳腺ごと切除しました。他の数個(5個)の腫瘤は、局所切除を行いました。
●卵巣子宮摘出
腹腔鏡下手術で摘出した卵巣および子宮です。切開は、5mm2か所、1cm1箇所で行いました。乳腺腫瘍で大きな切開を行うので、合わせて行う卵巣子宮摘出手術を低侵襲手術で行うことには、術後の回復が早まる大きな意義があります。摘出した子宮内には血液が溜まり、卵巣も大きく変化し共に異常が見られました。
●ドレーン装着
大きく乳腺を切除した場合(特に4、5乳腺部)には、このようにチューブを装着して排液を促します。切除した大きさにもよりますが、通常4日でチューブを除去します。
●抜糸
ドレインチューブを抜いてから7日後、乳腺摘出部位の抜糸を行いました。これで晴れて帰宅できます。後は、病理検査を待つのみです。
●病理検査
今回、飼い主さんの申告では8個の腫瘤でしたが、よくよく調べると10個の乳腺腫瘤を検査に提出することになりました。右側は第4、5乳腺ごと切除しましたが、他の8か所は局所的に切除しました。その中の1個のみが低悪性度の悪性腫瘍でした。幸い、マージン(切除範囲)は確保されています。今回の件は、これで安心ですが、残された乳腺からの新たな腫瘍発生に警戒しなければなりません。それから根本的に免疫を増強させる生き方に変更して、新たな腫瘍発生を抑制していかなければなりませんん。とりあえず、飼い主さんには一安心していただき、明るい笑顔で「のんちゃん」に接してあげて欲しいと思います。
関連タグ :
10時20分