広島県呉市「石崎動物病院」

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2010年07月22日(木)

大変でした!550gの横隔膜ヘルニア [News]

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●サクラ2カ月♀三毛猫
横隔膜ヘルニアとは、胸と腹を分けている薄い膜が破れて、お腹の臓器が胸腔内へ入り込んでしまう状態を言います。
この度、小さな子猫が呼吸困難で運び込まれました。しばらく経過を観察し、状態を改善させてから手術を行う予定にしました。

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肺は空気で充満されていますから黒く映ります。しかし、腹部臓器がたっぷり入ったサクラの肺は圧迫され、左の後葉の一部分しか空気が存在していません。呼吸困難でかろうじて生きています。食事は食べたいのですが、呼吸が苦しくて一口食べただけで死にそうになります。一刻の有余もないので、緊急手術に踏み切りました。

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●ヘルニア穴
まずは、麻酔管理が大変でした。呼吸できる肺が少ないので、十分に酸素化して血管から麻酔薬と鎮痛薬を投与しました。ここからが、また大変で胸が思うように膨らみませんから、小さな胸の膨らみをみながら、呼吸を調整していかなければなりません。

安定させた所で、急ぎ手術室へ運びます。
たぶん、交通事故だと思われますが、横隔膜の50%ぐらいに大きな穴が開いていました。その穴を通じて、肝臓、小腸、膵臓、胃が入り込み、肺を圧迫していました。小さな体ですので、指をいれるだけでスペースが無くなります。注意深く臓器を取り出して、大きな穴を閉鎖。お腹を閉じる前に胸の空気と液体を抜くためにカテーテルを挿入しました。

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●術後
手術中に一時期、血圧が低下することもありましたが、急いで手術を進めました。術後の覚醒は順調でしたが、酸素濃度が低めです。急いで鼻に酸素チューブを装着しました。小さな体(550g)で本当に良く頑張りました!しかし、術後しばらくは、体温、血圧、酸素濃度を定期的に測定します。気が抜けません!

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●ICU
数日間は、集中治療室で管理します。前足から鎮痛剤と細胞外液が持続的に流れます。足先には、酸素濃度を観察するモニターが装着され、胸のチューブからは、肺の隙間に存在する空気と液体を抜きとります。傍には、応援団のスヌーピーが寄り添います。

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●術後のレントゲン
呼吸も落ち着き、胸からの空気、液体が抜けなくなったので確認のレントゲンを撮りました。

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最初の写真と比べると胸の大きさも格段小さくなり、何より肺に空気(黒)が入っているのが分ります。食欲も日に日に出てきています。これで一安心です。

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●五日後のサクラ
呼吸が苦しくて食事がとれなかったサクラは、術後5時間で美味しそうにミルクを「ペロペロ」と飲みました。翌日は、「みゃ〜」と可愛い声で応えてくれ、流動食も「ペロリ」。揉み揉みしながら喉もなでてくれと催促します。この写真は術後5日後です。見違えるように元気になり、呼吸も安定しています。数日後に退院です。元気でね〜!


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08時01分


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