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2011年02月19日(土)
手榴弾装着 [News]
●サクラ 9歳 シーズー ♀
お馴染みの乳腺腫瘍摘出ですが、今回は、爆弾装備についての質問がありましたので説明を加えました。
サクラの場合、毎年、卵巣、子宮摘出の相談を受けていましたが、飼い主さんが迷ううちに、腫瘍抑制時期をとうに過ぎてしまいました。今回この様に乳腺腫瘤(病理検査前なので、悪性、良性の鑑別がつかないためこう呼ぶ)が多発したため、ようやく手術の決心がついたそうです。それほど大きな腫瘤でないために、局所切除も一案ですが、上から下まで広範囲に多発しているため、片側全切除を行うことにしました。
●手榴弾1
最大の目的は、乳腺組織の完全切除です。よって、かなり広範囲に術傷が広がります。そして、切開創の特にソケイ部(股の部分)に大きな空間ができてしまいます。その空間を放置しておくと、そこに大量の血液成分が貯留してしまい回復に時間を要します。その貯留液を無菌的に回収するのが、この手榴弾システムです。
全ての手術に共通する術後回復の鍵は痛みの管理です。大掛かりな切開ですから、当然痛みを伴います。その痛みを最小限にするために、術前から麻薬の持続点滴を行い、さらに硬膜外麻酔も追加しました。
●腹腔鏡にて卵巣、子宮摘出
腹腔鏡を使用するのは、痛みを軽減する対応の一つに含まれます。超音波と外観の想像通り、腹腔鏡で異常な子宮と卵巣を摘出しました。卵巣からホルモンの持続的な過剰分泌が乳腺腫瘍を誘発していると考えられます。
腹腔鏡を使用により、お腹の切開は、異常卵巣のサイズぎりぎりの、僅か2.5cmで終えることができました。
乳腺全摘出で大きく切開するため、できるだけ他の侵襲を少なくし痛みを抑えることが大切です、この場合の腹腔鏡使用は間違いなく有効です。
腹腔鏡用の皮膚の切開創は乳腺摘出創と同じ切開ラインを用いて行いました。
●手榴弾2
3日目の手榴弾です。
持続的に真空状態を維持しながら、隙間に溜まる血液成分をこのバックに回収します。動物の大きさと採取予想量で2種類のバックを使い分けます。利点は、無菌であること、バンテージ交換が不要、バンテージなどで過度の組織圧迫を防げることです。
通常2日で外しますが、今回は吸引量が多く、さらに2日が必要になると思います。(チューブを入れていると1ml/KG/DAYは出ます)
●術後3日目
食欲もあり、良く吠えます。申し訳ないことに、1カ月後に反対側の乳腺摘出が待っています。
サクラもう一回頑張って〜!
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09時12分