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2011年02月16日(水)
胃捻転 [News]
●クロ 12歳 ♀
昨日行方不明になり、帰宅後から「食欲、元気なく。えずく、お腹が大きい。」ことが気になって連れてこられました。
身体検査と超音波検査により、腹部に多量のガスと液体が溜まっていることに注目しました。半ば胃捻転を疑い、急ぎ麻酔をかけ、ガスを抜くことを試みました。しかし、チューブ挿入が困難なことから捻転を強く疑い、緊急で開腹することにしました。
●胃捻転
胃捻転とは、胃内にガスが急激に溜まり、胃が捻じれてしまうことで、胃と脾臓の血液供給が停止し、時間経過と共に壊死が進行します。このケースも胃の一部に血行障害が見られ下の写真のとおり色が黒く変化していました。幸い脾臓捻転の併発はありませんでした。
原因は、大型犬(特にグレートデン、ドーベル、シェパード)
に多く食後すぐに運動すると発生すると言われています。クロちゃんも食事を食べさせてから、直ぐに散歩へ出かける毎日だったそうです。
●ループ形成1
胃の一部を切断して胃の表面のしょう膜紐を利用して紐を形成します。
●ループ形成2
形成した紐を腹壁へ通し、再度胃が捻じれることが無いように予防的処置を施します。
●クロちゃんの予後
術後、徐々に状態が上向いてきています。炎症状態が継続しているのが気にかかる所です。本人の外観は、食欲は落ちていますが、動きは通常に近づいています。後3日ほどで退院の予定です。早期発見で救命できました。
下は術後2日目のクロです。
元気になりましたが、もう少し入院いただきます。
●自宅でできること
胃捻転は、早期発見が鍵です、以下に注意しましょう!
お腹にガスが過剰に溜まった時には、胃のあたりを指でたたくと「ぽんぽん」と音を発します。同時に嘔吐があったり、落ち着きが無くなります。そして、時間経過とともに呼吸が速くなり、よだれ、不整脈の発生が見られます。
中型,大型犬に発生を認めます。
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08時44分