17歳大将、ようやく手術を決心しました!「年寄物語」その4 [院長ブログ]
「年寄り物語」その4
大将 柴 ♂ 17歳
●ヒストリー。
数年前に左口唇に「小さなできもの」で来院されました。積極的に手術をお勧めしましたが、つい、つい、年だからと様子を見てしまったようです。
最近、「できもの」が大きくなり、痒く、そして、匂いも発するのでようやく手術を決心されました。
●育ち過ぎた腫瘍。
1cm程の小さな「できもの」は、時間経過に伴い、ずいぶんと大きくなってしまいました。「できもの」から1cm以上の切除部分を取り、口腔粘膜をも含めて大きく切除しました。
糸が結んである方が、頭側です。
完全切除がなされているか、各部位で病理検査を行います。
●切除後、そして、縫合後直後。
胸のレントゲン写真は、転移像がなく一安心でした。しかし、下顎のリンパ節が腫大していたため、細胞診検査を行い後、転移所見が怪しい状況でしたので、同時切除を行いました。
●10日後の抜糸写真。
口腔粘膜も大幅に切除しましたので、若干歯が唇から飛び出してしまいました。いたしかたありません。
●おまえもか!
先頭の写真にあるように、左耳のただれは、この耳道内に発生した「できもの」が原因でした。
ここにも「できもの」がおりました!
●細胞診後、レーザーで除去。
耳道に広がる、約3cmの「できもの」でした。
●10日目の抜糸、無事終了。
攻撃的な性格ゆえ、飼い主さんも遠慮があり、以前からの皮膚のケアーも十分にできず今日まで経過してしまいました。そして、今回の「できもの」が発生し、同じように様子を見過ぎてしまったようです。
手術前の血液検査では、全く異常が見つからず、もっと、もっと早くに手術、その他処置を思い切って決心いただければと・・・残念に思います。
”気がついたときが旬”であることを忘れずに!
●本日、病理検査報告が届く。
内容は、悪性である扁平上皮癌でした。
幸い、完全切除が成功し、さらに幸運にも血管への腫瘍細胞浸潤は見られませんでした。一緒に切除したリンパ節への転移もなくホットしています。口腔内扁平上皮癌と比較して、皮膚における扁平上皮癌は、転移が少ないと言われてますので、油断はできませんが、これで一安心です。
これを乗り越えて、20歳を目指して頑張ろう!
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後ろ脚が動かなくても、とっても幸せです! [お仲間紹介]
●チビ 3歳 ♀ 日本猫
●性格
子供が大好きで、息子さんの友達が遊びに来ると、ついてまわります。サッカーチームの子供達のアイドルです。
●エピソード
生後1ヵ月ぐらいの時に、事故で動けなくなっていたチビちゃんを息子さんが連れて帰ってきました。
その事故は、チビちゃんの足を奪いましたが、飼い主さんや皆の愛情を受け、他の子に負けないぐらい幸せです。
5月生まれなので、5月5日を誕生日と決めて、毎年皆でお祝いをしています。
●特技
スーパーボールを投げると、後ろ足は動きませんが、
上手にくわえて持ってきてくれるのです。
●飼い主さんから一言
我が家に来てくれてありがとう。来年も一緒に誕生日を迎えましょう!
●病院から一言
物凄〜く、良い子ですね。
今回、血液の病気になり当院とご縁をいただきました。定期的な寫血が必要ですが、まったく抵抗なく、機嫌が良いので申し訳ないぐらいです。さらに、チビちゃんから癒しのパワーも戴いています!
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「愛する家族のために」 中国新聞コラム [院長コラム]
●広島の整形外科医の先生よりご紹介を受け、5月12日 中国新聞夕刊「コラム」に私の思いを掲載させていただきました。以下、全文です。
●「愛する家族のために」
[動物にも人間と同じ検査、手術を !」と思い立ち、日本の医学部、アメリカの獣医大学を訪ね、腹腔鏡下検査、腹腔鏡下外科手術を始めて6年が経過した。目的は、検査による確定診断と痛みの軽減である。
動物は痛覚も人間と同じだが、状況判断ができない分、不安感が高じて痛みに敏感になる場合もある。腹腔鏡手術の小さな切開創であれば、痛みそのものを大幅に軽減できる。腹腔鏡検査はわずかな切開だけで確実な診断に結びつき、飼い主の抵抗感も少ない。今後、人間の最先端医療が動物に応用されさらなる進化が期待される。
しかし、私にとって最重要課題は予防医学である。生体にとって一番大切なのは、病気にならないことである。そのためには、自己免疫力を低下させないことであり、食事がそれを可能にする。この小さな家族が肉食獣であることを忘れず、遺伝子に沿った食事を与えること。正しい食事は腸を労わり応援する。血行も大切。流が止まれば水は腐る。運動により血液を細部までしっかりと送り、老廃物を流し出す。
また、その無償の愛で飼い主の心をいやす反面、飼い主だけをみつめ寄り添う彼らは、飼い主の負のダメージをその身に受け取ってしまうことをも理解し、心のケアを忘れてはならない。今後、人間がどのような飛躍を遂げようとも科学の進歩を過信することなく、自然の摂理に従う動物たちの生き方を私達自身も見つめ直す時期がきているのではないだろうか。
広島県呉市 石崎動物病院 石崎俊史










