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猫の尿閉 [院長ブログ]
●尿閉
尿閉(にょうへい)とは、尿が何らかの原因により閉鎖され排出が障害される状態を言います。当然、尿が出なくなりますので、2次的に尿毒症が発生し生死にかかわる状態になり、緊急疾患の一つです。多くが雄猫における膀胱結石により、その結石が狭い尿道に詰まることにより上記の症状が発生します。
●チョコ 3歳♂ スコテッシュフォールド
この度のケースは、結石ではなく血餅(血の塊)の閉塞により発生したものと思われます。
超音波で膀胱を観察すると、大きな何者かの塊が膀胱内にしっかりと位置しています。膀胱結石の場合には、食事療法で溶解することも可能ですが、血餅のケースでは、膀胱を切開して取り出さない限り治癒しません。
●手術
尿毒症の緊急事態を回避し、正常に復した3日後に手術を行いました。超音波の診断とおり、切開した膀胱内から大きな血餅が飛び出しました。
●細胞診
手術中に切開した膀胱の粘膜を観察すると、一部に怪しい炎症部位があり、急ぎ細胞を調べることにしました。すると、その細胞に悪性所見!・・・・しばらく病変を根こそぎ取るべきかどうか悩みましたが年齢的に癌発生年齢ではないこと、突発のできごとであることから、その怪しい病変を残したまま閉復し、病理検査を待つことにしました。
●術後
術後から尿がスムースに出るようになり、3日後に退院しました。数日後の病理検査では、怪しい部分は、慢性炎症所見と診断されました。診断医曰く「膀胱の粘膜上皮は、炎症により悪性所見を示すことがあります。また、尿沈渣での細胞診では、浸透圧で細胞の変性などが加わり、悪性/良性の鑑別が難しくなります。」とのことでした。今思えば、慎重な判断が効を奏したと思いました。
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年寄り物語/頚部の血管肉腫 [院長ブログ]
●ベル 柴犬 11歳♀
足先と腰と首にできものができました。飼い主さんは、2件の病院を訪れたそうですが、いずれも年齢的に無理だからとのことで諦めていました。しかし、最近とくに首のできものが大きくなってきたので、当院のホームページ「年寄り物語」をご覧になり「何とかならんか!」とご来院されました。
●検査合格!
身体、血液検査は合格。負担の少ない麻酔選択、そして、手術手技をご説明し、いよいよ待望の手術に踏み切ることになりました。
●手術
胸部レントゲン、腹部超音波にて転移の有無を確認後、手術に進みました。こちらは、左の喉の部分にできた大きな塊です。慎重に組織を剥がしながら手術を進めました。
●病理検査
病理検査が到着しました。残念ながら頚部の腫瘤は「血管肉腫」でした。周囲組織への浸潤があるいやらしい悪性腫瘍でした。血管肉腫は、脾臓、心臓によく見られますが、今回の様に頚静脈に見られたのは私の経験では初めてです。すでに転移の可能性は高いですが、これから、抗癌剤を使用するかどうかの選択は、飼い主さんのご意見を最優先させていただきます。
●その後
一時食欲が低下したり、頚部摘出部位に液体が再貯留し、ドレインを入れ直すこともありましたが、この度、無事に治療を終えることができました。今後は、飼い主さんのお考えで、抗癌剤を使用せずに免疫を高める方法で対応することが決まりました。ベル〜!頑張るぞ〜!
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犬の乳腺腫瘍 [院長ブログ]
●のん ダックスフンド 8歳♀
今年5月に他院で5個の腫瘤を摘出、6月の生理後に新たに8個出現。今回、腹腔鏡卵巣子宮摘出術と乳腺腫瘍摘出手術を合わせて希望されたために、遠くは香川県からいらっしゃいました。(お疲れ様です!)
●胸部レントゲン
乳腺部の腫瘤が腫瘍かどうかわかりませんが、悪性の場合には、遠隔転移としてリンパ節、脾臓、肝臓、肺へ飛ぶ可能性がありますので、手術前にレントゲンと超音波で術前検査をおこないました。
レントゲンによる胸部転移の確認は、右下、左下、うつ伏せの3枚の写真を撮影します。
●乳腺摘出
4、5乳腺に数個の腫瘤を認めたため、乳腺ごと切除しました。他の数個(5個)の腫瘤は、局所切除を行いました。
●卵巣子宮摘出
腹腔鏡下手術で摘出した卵巣および子宮です。切開は、5mm2か所、1cm1箇所で行いました。乳腺腫瘍で大きな切開を行うので、合わせて行う卵巣子宮摘出手術を低侵襲手術で行うことには、術後の回復が早まる大きな意義があります。摘出した子宮内には血液が溜まり、卵巣も大きく変化し共に異常が見られました。
●ドレーン装着
大きく乳腺を切除した場合(特に4、5乳腺部)には、このようにチューブを装着して排液を促します。切除した大きさにもよりますが、通常4日でチューブを除去します。
●抜糸
ドレインチューブを抜いてから7日後、乳腺摘出部位の抜糸を行いました。これで晴れて帰宅できます。後は、病理検査を待つのみです。
●病理検査
今回、飼い主さんの申告では8個の腫瘤でしたが、よくよく調べると10個の乳腺腫瘤を検査に提出することになりました。右側は第4、5乳腺ごと切除しましたが、他の8か所は局所的に切除しました。その中の1個のみが低悪性度の悪性腫瘍でした。幸い、マージン(切除範囲)は確保されています。今回の件は、これで安心ですが、残された乳腺からの新たな腫瘍発生に警戒しなければなりません。それから根本的に免疫を増強させる生き方に変更して、新たな腫瘍発生を抑制していかなければなりませんん。とりあえず、飼い主さんには一安心していただき、明るい笑顔で「のんちゃん」に接してあげて欲しいと思います。













