2度目も良く頑張りました! [院長ブログ]
●2度目
1ヶ月前に乳腺腫瘍、子宮卵巣摘出術を行いました。今回は、残された反対側の乳腺腫瘍の摘出手術です。当院では、以前は片側全て、あるいは、1〜3、4〜5乳腺の組み合わせで摘出していましたが、現在は、極力局所摘出を行っています。そして、その組織を病理検査へ提出し、個々の腫瘍の形態(悪性、良性)を確認します。
●膣内の巨大腫瘍
膣内に大きな硬い腫瘍が出来ていました。この度、乳腺腫瘍と共に膣を切開して摘出しました。
●摘出後
今回も、乳腺腫瘍と膣の腫瘍摘出で20針程の大がかりな手術となりましたが、他に全身のイボを炭酸ガスレーザーで10か所除去しています。
●膣内腫瘍
膣内のほとんどを占有していた硬く大きな腫瘍です。尿道部分に位置していなかったので、生活には影響はなかったようですが、不快感は少なからずあったはずです。
●歯石除去(前)
今回も、前回同様いろいろと処置が多かったですが、前回からの飼い主さんの希望である歯石除去を行いました。検査では、切歯のエナメル欠損、上顎臼歯の歯肉欠損がみられましたが、脱落歯は見られませんでした。
●歯石除去(後)
15歳とは思えない歯の数でした。一部は歯肉が後退して根の出ている部分もありますが、この年齢まで歯がこれだけ残っているのは、立派です。定期的な検診と処置。そして、食べ物選びと歯磨きを正しく行うことで、多くの歯を高齢でも残すことが可能です。さあ、皆さんも頑張って!
●病理結果
乳腺は一部が悪性腫瘍でしたが、リンパ節転移はなく、完全切除がなされていました。
また、お尻の腫瘍は、悪性神経鞘腫でした。この悪性神経鞘腫(シュワノーマ)は神経鞘細胞由来の悪性腫瘍であり、成熟動物〜老齢の動物にしばしば発生します。発生部位として、前肢および尾に最も好発(それぞれ22%)し、その他関節部に多く発生します。臨床的には除々に大きくなる境界不明瞭の腫瘤として観察されます。多くは浸潤性に増殖するために再発率は非常に高く、また転移率は比較的低いそうです。
この度は、腫瘍と健康組織との境界は明瞭であったため一般的な状況に比較して予後は良いと予想されます。
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北海道大学 実習生感想文 [実習生感想文]
9月6日から11日まで6日間、石崎動物病院で実習させてもらいました。私は、動物病院での実習が初めてだったので、どんな症例の動物が来るのか分からなかったのですが、私の予想よりもたくさんの種類の症例があることが分かり、驚きました。ワクチン接種や皮膚病などが主な来院理由なのかなと漠然と考えていたのですが、糖尿病などの慢性疾患や、腫瘍、心疾患、骨折、寄生虫疾患など様々な来院理由があることが分かりました。今まで教科書でしか読んだことのなかったそれらの症例を実際に見ることができて、とても勉強になりました。何件かの手術も見学させてもらったこともいい経験になりました。特に印象に残ったのは、大きくなりすぎてしまった皮膚腫瘍の手術と、腹腔内腫瘍の手術です。
皮膚腫瘍は大きなものが頭と足にできていて、腫瘍からの滲出液で被毛が非常に汚れていてとてもかわいそうでした。もっと早くに処置できていれば大変な手術にならないですんだのかなと思いましたが、どうしようもない理由があったのか
なとも思いました。腫瘍を液体窒素で凍らせてとるという手技も初めて見たので、とても興味深かったです。腹腔内腫瘍の手術では人頭大の腫瘍が腹腔内にあり、腸と癒着していましたが、癒着を剥がして腫瘍を摘出していくのを見て、感動しました。
「飼い主が何を求めていて、何をすれば喜ばれるのかを常に考えることが大事」という院長先生の言葉も印象に残りました。ものが言えない動物が何に苦しんでいるのか、つまり病気の原因は何なのかを見極めて、病気を治療していくことは獣医師にとって重要な仕事だと思います。動物病院の獣医師はさらに、飼い主の立場に立って考えるということも大切なのだと思いました。実際の症例や手術、検査などの様子を見ることができて勉強になったのと同時に、動物病院の獣医師にとって何が重要なのかを少し分かることができたので、実習をさせてもらってよかったなと思いました。
6日間、ありがとうございました。
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よくぞ、返ってきた! [院長ブログ]
引き続き足先の事故です。
●エルダ2 ♀ 日本猫
1ヶ月間行方不明になっていたそうです。ある日、飼い主さんが外で「カシャーン、カシャーン」という金属音に驚いて外に出てみると、久しぶりのエルダです。嬉しさもつかの間、何とエルダの足には大きなワナが着いているではありませんか。それを着けたまま、ズルズルと引きずりながら帰ってきたのでした。また、それからがまた大変でした。その罠は、大人3人がかりでも外すことが困難で、特殊な機械を使わないと外れなかったそうです。
●残念ながら・・・・。
時間がかなり経過していたと思います。既に血行を失った足先ははれ上がり、色が悪くなっていました。3本の指と本体との連絡は骨だけです。これからまずは壊死するだろう部分をの行方を見守り、落ち着いてから手術を行う予定です。
●外科手術
入院から14日目。残った指先で、術後に足をできるだけ自然に着けるように形成手術を行いました。既に2本の指先は落ち、残り1本の爪と付随する骨を除去し、僅かに残るその皮膚とパットを利用して足先に貼りつけました。
●切除した骨と爪
残念ながら3本の骨と爪を除去しました。
●残された指先
幸いにも薬指の指先が残ったので、この僅かな皮膚とパットを利用して形成することにしました。
●形成後
足先にクッションが無いと常に損傷が生じます。薬指のパッを足先に移動しました。これから周辺の皮膚が伸びるのを待ち、足の裏にパットを追加移植して、多少の形成を加えることになるとおもいます。乞うご期待。
続く・・・・。













