広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

RSS1.0


選択されているタグ : 

%93%E0%8E%8B%8B%BE%81E%95%A0%8Do%8B%BE

腹腔鏡下 睾丸摘出手術 [院長ブログ]

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●陰睾(いんこう)とは?
 睾丸は成長過程で陰嚢におさまるのが正常位です。陰睾とは、睾丸が本来の場所ではなく、お腹の中、あるいは、股の部分にとどまってしまうことを言います。本来、睾丸はいつも風通しの良い場所に置かれていなければならず、暖かい場所におかれると、腫瘍化してしまうことがあります。 今回のケースでは、痛みを最小限に抑えるために、飼い主さんの希望により、腹腔鏡を用いて腹腔内の両睾丸を摘出しました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●術後 
 腹腔鏡が終了した画像です。睾丸の幅ギリギリの最小切開と5mm穴1つで手術終了です。通常の手術であれば切開する範囲が左右それぞれになり、大きな切開創になります。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●摘出睾丸
 画像は腹腔鏡で取りだした睾丸です。お腹の中で、超音波メスを使用し、切断と止血を行います。その際、縫合糸は使用しません。
 切れば同じと言う意見もありますが、私は、私自身が同じ手術をしてもらうのであれば、できるだけ痛みが少ないことを望みます。また、腹腔鏡を用いることでお腹の中全体を観察(肝臓、胆嚢、脾臓、腸、膵臓)出来る利点があります。この内容を、通常切開で行うと物凄く大きな創になります。
 私の過去の経験では、腫瘍化した睾丸を放置したことにより血小板減少症が発生し、手がつけれなくなったポメラニアンを思いだします。早速、左右の睾丸を確認して見てください!


関連タグ :

  一記事表示

猫の膵炎 [院長ブログ]

●猫の膵炎
猫の膵炎は、犬の様な特徴所見がなく診断がむづかしいと言われます。原因は、トキソプラズマ、FIP、カリシウイルス、脂肪異栄養症、FeLV、外傷などで、症状は、元気消失、食欲不振、脱水、特徴的な所見は低体温があり、時々、多飲多尿、嘔吐、下痢が見られます。

●フー 5歳 雌(不妊手術済)

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

2、3日前からどうも様子がおかしい。フラフラして食欲、元気がないという主訴で来院されました。体温41.2度。血液検査では、白血球増多。そして、感染を疑う中毒性所見があります。まずは、抗生剤を処方しました。
その晩、鰹節を少したべたが、その後、変わらず食欲元気なく、発熱が続くと翌日に再来院されました。再度、血液検査をすると黄疸所見が見られ、昨日より強い感染を疑う血液像が現れました。そこで、超音波検査を行いました。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

●超音波検査
膵臓を観察すると、通常、膵臓は観察されないのですが、膵臓壊死とおもわれる膵臓の低エコー像を認めました。膵臓の超音波検査は、感受性の低さ(67%)から診断をつけにくいのですが、腫瘍、リンパ節過形成、門脈高血圧、低アルブミン症による浮腫を除外することで特異性が高まります。それらを考察し膵炎の可能性を疑い、早速その日の午後から、腹腔鏡による膵臓組織検査を計画しました。                                  

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●膵臓生検
浮腫をともなった膵臓が見られます。腸間膜リンパ節も腫脹していました。左の鉗子で十二指腸を摘み上げ、右の生検鉗子で膵臓を部分切除しました。超音波でも確認済みの僅かな腹水が観察されました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●肝臓生検
同じく肝臓各葉を観察し、数か所を部分切除して検査へ送りました。上記および右の主義は、5mmの穴3か所で行っていますので、負担は極めて少なくなります。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●食道チューブ
食欲がない主訴と術後の食欲不振を考慮して、麻酔時に一緒に食道にカテーテルを装着しました。このチューブから栄養を補給し、食欲が回復するのを待ちます。

●病理結果
膵臓は、膵炎と診断され、外分泌の変性、委縮が観察され、一部で炎症細胞浸潤が観察されました。肝臓は、肝細胞の変性が観察され、炎症細胞も散見される状態でした。

10日後には、熱も下がり顔つきも良く調子が良い感じです。血液検査では、炎症像もなくなっていました。そして、徐々に口から物を少しずつ食べるようになって順調な回復です。
めでたし、めでたし。

   


関連タグ :

  一記事表示

膀胱鏡(ぼうこうきょう)使用症例の詳細 [院長ブログ]

●尿に血が混じるといる主訴で来院されました。
超音波とレントゲン写真で尖った感じの結石が膀胱内に確認されました。尿検査の結晶検出から、食事療法では溶解することができなタイプと分かり、外科的アプローチを決定しました。

画像(319x330)・拡大画像(600x619)
画像(330x265)・拡大画像(550x442)

●手術室へ移動する前、硬膜外麻酔を行い痛みを管理します。そして、臍の上方に5mm切開を加え、カメラを挿入し、次に、ペニスの側方に約1.5cmの切開創を加えます。(膀胱鏡を使用しない場合には、膀胱を腹腔から外に出すので、通常の皮膚切開創は約5cmになります。)

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●臍の横に開けた5mmの穴からカメラを挿入し、膀胱の位置を確認します。そして、ペニス横の穴から鉗子を挿入し、膀胱を把持します。鉗子穴を少し大きくし膀胱を少しひきだし、膀胱壁と腹壁を縫合固定します。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●膀胱に5mmの切開を加え、膀胱内を観察します。
「あった、あった!」レントゲン、超音波で確認済みの例の結石が見つかりました。
こんな、トゲトゲであれば、膀胱粘膜もダメージがあるはずです。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●結石をカメラ付き把持鉗子で捕獲し、膀胱より取り出します。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●その後、膀胱内を一周して、小さな結石が残っていないか観察、検査します。
「あった、あった、ここにもおったぞー!」

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●同じくカメラ付き把持鉗子で、小さな結石も残らず採取、除去します。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●結石を取り終わったら、膀胱内と尿道移行部を観察します。(ここによく、結石が集まる)慢性膀胱炎の影響で、荒れた膀胱内粘膜が見えます。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●膀胱を元に戻し閉腹した後、臍の横の穴から、カメラでお腹全体と術後の出血を観察します。こちら、肝臓と胃が見えてます。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●「とったドー!」
無事に以下の結石が除去され、切開創が小さく、ダメージが少ないので、その日の夕方には帰宅となりました。目出度し、目出度し。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●膀胱結石は、出血、膀胱炎を併発することが多く、血尿の症状だけで、膀胱炎を決めつけずに、レントゲン、超音波を用いて、膀胱、腎臓と併せて検査する必要があります。
尿が「赤い」「出血が混ざる」時には、速やかにご来院ください。


関連タグ :

  一記事表示

過去の記事へ

ページのトップへ

症例検索キーワード

  • お問い合わせ
  • スタッフ募集
  • 石崎動物病院の日々

検索

最近の記事

リンク集

powered by a-blog

[Login]