高齢犬の膣にできた腫瘤 [News]
●15歳 雑種 ♀
「乳腺腫瘍が裂けた!」と山口県からいらっしゃいました。
よく見ると、乳腺腫瘍ではなく、陰部から腫瘍が頭を出している状況でした。急ぎ、一般状態を検査して手術可能かを検討しました。
●腫瘍摘出
身体検査、血液検査、胸部レントゲンをクリアーして、手術に進みました。飛び出した腫瘤は、陰部の入り口を大きく塞ぐ形で位置していました。この部分の腫瘍は、なかなか大きくなって外に顔を出す様にならないとみつかりません。病理検査を待ちますが、たぶん平滑筋腫だと思います。そして、超音波検査で発見した子宮と卵巣の異常から、そちらも一緒に手術をすることにしました。
●異常な卵巣と子宮も摘出
大きく膨らみところどころ結節状になった子宮、そして、大きく変化した卵巣を腹腔鏡を用いてで取り出しました。
半年前には、下に見える乳腺切除の相談にこられたのですが、高齢(15歳)故に手術を躊躇されていたのが、今回の事態で考える余地もなく麻酔、手術へと相成りました。
半年前と比べると乳腺腫瘍の数は確実に増えました。今回は年齢と手術時間を考慮して、先ずは今問題の膣の腫瘍と異常な子宮と卵巣を取ることで一旦終了しました。
この傷が癒えてから、乳腺切除を検討するようにお伝えするつもりですが、たぶん一旦この状態が良くなり元気になれば、腫瘍が裂けない限り今後の手術はされないような気がします。15歳といえども、様子を見れば見るほど年を重ねリスクが増加します。前向きに速やかに切除されることをお勧めします。
●高齢になると
10歳を越えると、飼い主さんはもう歳だからと手術を躊躇してしまいます。しかし、早い段階で手術を行うことで簡単に解決できる問題を数年悩み待つことにより、さらに大きくしてしまい、さらに年齢を重ねた別の問題を発症(心臓、腎臓など)させてからの悪い状況下での手術になってしまいます。
お気持ちは分かりますが、状況に合わせてアドバイスさせていただきますので、まずは早期に相談をお願いします。
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実習生感想文 [実習生感想文]
●山口大学獣医学科5年 生石泰久
この度は1日という短い時間でしたが大変お世話になりました。
先生が山口大学病院にきていただき、僕ら学生に丁寧に指導をしていただいたこと、なにより先生の他の先生、研修医、学生に接する親切、謙虚な素振りに感動し先生の病院に見学をさせていただくことになりました。
山口大学では二次診療を主にやっていますので、石崎先生の病院を見学させていただいたときは、かなりいつもと違うものを感じました。どのように問診をとられ診断し、飼い主さんと接しているのかを知りました。またエコーについても丁寧に教えていただき大変勉強になりました。それと、やはり腹腔鏡はシステムもそうですが先生の熟練された手捌き、VTさんの動きには感動しました。
診療後も僕ら学生をお食事に誘っていただいていろいろな話をしていただきました。ありがとうございました。僕らも獣医のことだけでなくもっと社会勉強をしないといけないなと感じました。今回の貴重な経験を生かしてこれからも日々努力し、頑張りたいと思います。最後になりましたが、院長先生、獣医師の先生方、動物看護師さんの方々、本当にお世話になりました、ありがとうございました。
●山口大学 獣医学科 5年 吉田 育代
この度は、大変お世話になりました。
一日のみの実習でしたが多くの事が学べ、有意義な時間を過ごすことができました。腹腔鏡での避妊手術は時間も早く、傷も小さく、あらためて低侵襲外科の素晴らしさを感じました。腹腔鏡は患者さんにとってもオーナーさんにとっても、思いやりのある手術だと思いました。針治療や漢方薬などの東洋医学は大学病院では学べる機会がないので、非常に興味深く拝見させていただきました。また、オーナーさんとの付き合い方や、信頼関係を築く方法、患者さんに関する様々な情報を聞き出すための会話術などの大切さを知りました。
石崎先生を筆頭に、獣医師の皆様、看護師の皆様は非常にテキパキと、かつ笑顔で丁寧に仕事をしており、自分も見習おうと思いました。
一日のみでしたが、今回の実習で多くの事を学ぶことができたので、今後、生かしていきたいと思います。最後になりましたが、今回、実習を受け入れて下さって本当にありがとうございました。