猫の急性腎不全 [News]
●ピー 日本猫 ♀ 10歳
慢性腎不全と診断され、セカンドオピニオンを求めて来院されました。見るからに状況は深刻でした。嘔吐を繰り返し、虚脱した状態でしたので、尿毒症も疑い血液検査を行いました。
結果は尿毒症、原因を探るべく超音波検査へ進みました。
●超音波検査
左右の腎盂(尿が集まる受け皿)の著しい拡張と結石が見つかりました。尿管の拡張は見られなかったため、腎盂結石による閉塞、そして尿毒症に進展したことが考えられました。
●3日後
腎臓にカテーテルを固定して急性尿毒症を回避しました。初日の表情とは見違えて機嫌が良く、食事も取れるようになりました。
●レントゲン所見
造影検査を行うと右の腎臓が機能していないことが分かりました。腎臓切開手術を行うと少なからず腎臓の組織がダメージを受けます。最大で見積もっても全体の50%しか機能してない残された腎臓にメスを入れる訳ですから、できるだけダメージの少ない手術を行う必要があります。理想は腎盂切開による摘出です。
●手術
7日後に手術を行いました。
腎臓皮質の切開を考えていましたが、片方の腎臓しか機能していないので、避けたいアプローチでした。幸いにも腎盂切開を行い、カテーテル部分から洗浄を繰り返し結石を取り出すことに成功しました。
残念ながら尿管部分に結石の破片が詰まり、急遽尿管を一部切断して、新たに膀胱に移設することになりました。
術後は急性腎不全となりましたが、5日後の現在はほぼ正常に復しつつあります。
ピーちゃん本当にお疲れ様でした。心配しているお母さんのもとに一刻も早く帰宅できるように頑張りましょう!
大分県 明礬温泉 岡本屋と鶴寿泉 [院長コラム]
●明礬温泉は別府8湯の一つですが、8湯の中で最も標高の高い温泉です。ということはそれだけ濃度が高いとも言えます。今回は大分県別府市、明礬温泉の中でも老舗旅館岡本屋さんにお世話になりました。歴史のあるたたずまいで、陛下がお泊りになった部屋は落ち着きのある雰囲気でした。
●泉質
スカイブルーの単純酸性硫黄泉。特に外の露天は、赤川温泉と同じく神秘的です。飲泉もできますが、かなり酸が強い気がしました。適応は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、打ち身、くじき、慢性消化器病、痔、冷え症など。
込み合う時期は、立ち寄りができないそうです。
電話で確認してください。0977-66-3228
●地獄蒸し
別府の料理といえば地獄蒸しが有名です。地熱で肉、野菜などを蒸して「ほっこり」と戴く料理は心も体も暖まります。しかし、卵以外のその美味さは食材が支配するので、良い食材を使用しているところを選ぶ必要があります。岡本屋の地獄蒸は、70点というところでした。しかし、岡本屋の手づくりロングセラーの地獄蒸しプリンは美味しくて思わずお代わりしてしまいました。
●鶴寿泉(かくじゅせん)
こちら、岡本屋のすぐ隣にある共同湯です。朝の一番風呂に入るべく、5人ほどが並び6時の開錠を待ちました。お地蔵さんに感謝を申し上げ、さい銭して入場。
勇んで入ろうとも熱過ぎる(>60度)。常連のおじさんからと手ほどきを受けて、皆で水で薄めてかき混ぜて待つこと5分。
●泉質
やや白みがかった酸性湯(PH1.7)、岡本屋とおなじく硫黄の香りが漂います。常連のおじさんが「あんたはどこに泊まっとる?」「岡本屋です。」「んじゃあ、ここに入ることはない、ここの湯は岡本屋から分けてもらっとるんよ。」でした。しかし、独特なローカルな雰囲気は、鉄輪温泉と似た味わい深い忘れられない湯の一つになりました。
泉質 ★★★
接客 ★
食事 ★
猫の動脈血栓塞栓症 [News]
●小鉄 ♂ 17歳
「突然、腰がふらつきだした!」の主訴で来院されました。
早速、身体検査を行うと「後ろ足が冷たい、脈を触知しにくい、爪を切断しても血が出ない」などの症状から、大動脈が分かれる部位での血栓症(いつも腹大動脈に詰まる)を疑いました。今回は、費用の関係から心筋症による「動脈血栓塞栓症」と仮診断し、治療を開始しました。
●超音波所見
著しく拡大した左心房と分厚い心室と僧房弁逆流(左の心臓の弁がしっかり閉じないために逆流を起こす状態)を伴っていました。血栓を生じるといわれるスモーク所見も見られました。
●緊急処置とその後
ご存じの通り血栓症は、閉塞した部位の血液供給が止まるので、一刻も早く血栓を溶解し組織への環流をもどさなければなりません。早速@血栓溶解A抗血栓B血栓予防療法を行い回復を祈りました。
致死率の高い病気ですが、3日間の集中治療により、起立できるようになり、やや食欲が出てきました。
10日後には、引きずっていた後肢も完全に復活し、食欲も正常に復しました。今後は心臓の管理と血栓予防を行い、再度塞栓しないよう継続治療が必要です。