広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

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犬の股関節脱臼 [News]

●もも 8歳 トイプードル ♀
8日前から足を着かなくなった主訴で来院されました。
一人遊び中に「キャイ〜ン」と鳴きそれから足を着けなくなったが、
だんだんと着地できるようになってきたそうです。

よくあるのが「膝の十字靭帯断裂」です、診察前に周波数測定を行うと靭帯障害がピックアップされました。ターゲットを膝に絞って触診するも、膝の靭帯断裂の様相はありません?、身体検査を進めると大腿骨大転子と座骨が並んで位置しているのが分かり、さらに足の長さを比較すると明らかに右が短縮していました。
次に右股関節脱臼に絞ってレントゲンを測定しました。

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●レントゲン撮影
触診通り、右股関節脱臼でした!
右側(青矢印)は寛骨臼から頭側へ骨頭が外れていることが分かります、左側は正常関節です。

「周波数測定は、間違っていたのか!?」と疑問が沸きましたが、股関節の関節面にも円靭帯が付いているので、その靭帯損傷を反映した結果であったことに安堵、確信しました。

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●非観血的脱臼整復
非観血的整復法とは?外科処置を行わずに、脱臼を整復する方法です。今回は8日経過していたために、飼い主さんに可能性が低いことを伝えトライしました。
飼い主さん曰く「切るのは嫌だから、何とか入れてくれ〜!」。

私も切らずに終わらせたいのは山々ですが・・・。

3回ほどのトライで無事に関節カプセルに整復されました、その後は、骨頭内部に存在する組織を追い出すために大腿骨頭を押えながら関節を200回ほど動かしバンテージで固定しました。

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●処置後
整復後にレントゲン撮影を行い確認します。
バンテージで足が隠れているためレントゲンの結果が出るまでは心配です、しっかり股関節が整復されている状態を確認して(→黄色)、
「おっしゃー!、成功、成功〜🎶」と喜び胸をなでおろします。

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その後は、1週間後に再度レントゲン撮影を行い確認、そして、約2週間固定を続けバンテージ除去後はリハビリを開始します。

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犬の耳血腫 [News]

●チャコミ ♂ 15歳 Mix
「耳が膨らんできた」主訴で連絡が入りました。

拝見すると見るからに左の耳血腫(じけっしゅ)でした。
耳血腫とは、耳の皮膚と軟骨の間に血液がたまることで、
耳が膨らんだ状態になります。
状況は様々ですが、多くの例では耳がパンパンに膨らんで来院される(↓写真)ケースが多く、原因は、「自己免疫疾患、あるいは、アレルギー疾患による外耳炎で耳をしきりに振ることにより血管が破城して血が溜まる」とも言われますが、はっきりしたことは分かっていません。

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●治療
内科療法と外科療法、あるいは放置療法(大きく膨らんだ場合には、痛みがあるので無理)があります。
内科療法では、長時間型のステロイド注射で治りますが、私個人的には、老犬には特に活性酸素を大量に発生させる人工長時間タイプのステロイドは使いたくありません。

今回は、飼い主さんとの話し合いにより外科手術で対応することにしました。腫れた耳の内側の皮膚と軟骨の一部を切除して、中にたまっている血腫を除去し、膨れ上がり空いてしまった隙間を上下で合わせる縫合を行います。

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●術後
開けた隙間からでる血液をスポンジに吸収させ、定期的な包帯交換を行います。

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●抜糸後
約10日後に抜糸を行い終了です。
チャコミは、アレルギーが存在するので引き続き食事管理を継続していきます。

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犬の尿道結石 [News]

●りあん ♂ イタグレ 6歳
「3日前からポタポタと血尿がでる!」主訴でした。
触診で明らかに硬い膀胱が触知できました、まずこれだけで尿が閉塞している状態が伺えます。

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●超音波検査
尿閉塞の場合には、超音波検査は必須です。
膀胱内と閉塞していると思われる尿道を検査しました。
@膀胱の左側に白く丸く見えるのが膀胱内の結石で、その結石の下側には影を引いている像が見えます。他の映像には、尿道が拡張している様子が見れました。
A尿道内に膀胱と同じ丸く白く、そしてその下に影を引く映像が見えました。

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●血液検査
血液検査を行うと既に急性尿毒症(BUN46.6 Cre2.3)になっいるのが分かりました!
まずは応急処置として尿道内に閉塞した結石を膀胱内へ移動させる処置を麻酔下で数回試みました。
残念ながら結石の移動はならず、尿道を切開して結石を取り出す手術に移行しました。

以下は、最初に膀胱内へ貯まっていた尿です。
長時間貯留し、膀胱へのダメージがあるために、
尿の色は真っ赤に変化しています。

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●尿道切開
メス刃の先端に見えるのが尿道を閉塞している結石です。
尿道を切開してその結石を取り出しました、狭窄を防ぐため尿道はあえて縫合しません、尿道は血行がすごく良いので再び出血が始まることが多く、術後には激しい皮下出血を起こすことが多くあります。

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●尿道内の結石
フラッシュ洗浄の結果の通り、約5oの結石は直接尿道を切開してアプローチしたのにかかわらず、それでもがっつりと鎮座してまったく動かない状況であり時間を要しました。

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●閉鎖回路の設置と退院
術後に切開した尿道を経由して膀胱までカテーテルを挿入し、結石による再度の閉塞を防止しました。数日間の点滴で急性腎不全が解消された時点でカテーテルを外します。

4日後には、尿毒症の数値が正常(BUN7.3 Cre0.7)に復し、結果に基づきカテーテルを除去し、そして、自力で排尿できることを確認後、飼い主と5日ぶりの感動の対面をして岐路につきました。

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●今後
結石を科学的に分析・分類し、もし、食事で溶解できるものであれば食事療法へ、しかし、溶解できないタイプであれば、残りの結石は再度、麻酔下で膀胱鏡を使用して根こそぎ除去する予定です。

●再閉塞(追記)
抜糸も終わり、結石の分析結果(システィン結石)に基づいて食事療法を開始していたところでした。再び尿がポタポタ落ちるようになったと連絡をいただきました。
手術による結石除去を行っていないので、しばしば再閉塞は生じます。麻酔下で確認して閉塞している結石をフラッシュして膀胱内へ戻しました。膀胱内には2つの結石が残っています、小さいのが5o、大きいのが1.5mm。
今回は、閉塞してからの時間経過が浅いためフラッシュが成功し尿道切開には至りませんでした。

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再び膀胱炎が発生していたため、漢方薬*を再開しました。
一刻も早く膀胱内で結石が溶解してくれるのを願うばかりです。

*漢方薬
漢方薬にも抗菌作用を持つ種類もあります。世間のイメージとして漢方薬の効果は「ゆっくり」ありますが、決してそうではありません。人間の業界で出回っている漢方薬は副作用を防止するために濃度を薄く調整しているため切れ味が悪いのです!

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