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2014年05月05日(月)
犬の慢性鼻汁 [News]
●きなこ 14歳 ♀ ボーダーコリー
「数か月前から鼻から膿が出る」主訴でした。
●持続的な片側鼻汁
片側からの膿汁排出の原因は、異物、腫瘍、歯根膿瘍などが考えられますが、まずは、麻酔をかけて歯の検査をさせていただくことにしました。ちなみに、鼻汁塗抹検査は、白血球が捕獲していました。つまり細菌感染が存在することが分かりました。
●第四前臼歯側方ポケット
探査用のプローブによる検査を進めました。一見正常ですが、第4前臼歯口蓋側に微かな膿を見つけ、プローブを挿入すると、正常では3mm程度のスペースが3pの深さまで入り込む異常を見つけました。歯の状態を目視確認するために歯肉切開を行いました。
●歯肉切開、抜歯
第4前臼歯は3本の根を持ちますが、口蓋側の根はレントゲンの通り、既に溶解吸収され消失していました。そして、抜歯を行うとその奥には、大量のクリーム状の積載物(膿)の塊が充満し、大きな穴が開いていました。
●排膿、洗浄
大きな穴から出た大量の積載物を優しく掻き出し、そして、洗浄を繰り返しました。大きな穴は、鼻道を貫通し広範囲に口蓋の骨を侵食していました。
●フラップ形成
その穴を放置すると食べ物が鼻道に入ってしまうため、口腔粘膜を利用して穴をふさぐ計画を立てました。
●縫合
粘膜のフラップにより無事に穴が覆われました。
全ての歯の再チェック、歯石除去、歯肉腫瘤の切除、ポリッシングを行い、全行程(約4時間)が終了しました。
*全行程の中には、術前の胸部、四肢のレントゲン撮影、腹部超音波検査が含まれます。
老齢でしたので、流石に麻酔の覚醒には時間を要しましたが、翌日からは食欲は正常に復しました。
長時間に渡りご苦労様でした。
●教訓
歯石の蓄積が僅かであっても、今回の様な事態が発生することがあります。定期的な歯石除去の際に、一本一本調べて記録に残しておくことが大切です。
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07時15分