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2015年07月12日(日)
猫の膀胱破裂 [News]
●ミー 6歳 ♂
今朝8時に足に怪我をしているので見て欲しいとご連絡が入りました。飼い主さんは単なる猫同士の喧嘩で傷を負ったと理解されていましたが、拝見するとかなりの衰弱が診られ、嘔吐も伴っています。足の負った外傷は骨が露出するほど激しいので、膀胱破裂も想定して、急ぎ血液検査を行いました。
血液検査では、腹部に受けた衝撃から著しい肝臓酵素の上昇、尿素窒素の上昇が有り、腎臓破裂、尿管断裂、膀胱破裂のいずれかを疑い、緊急手術を準備しました。しかし、来院当初は、血圧の低下を伴うショック状態が見られ、直ぐに手術を行うわけにはいかず、先ずは急速点滴による血圧維持と疼痛管理を中心に開始しました。
●開腹手術
血圧が安定後、次に腹部を開けて泌尿器系を精査する計画をたてました。
開腹して破れていると想像して膀胱を探すも見つかりません、しかしお腹の中にはかなりの出血と液体貯留がみられます。精査すると破れた腹膜から足の筋肉の隙間に入っている膀胱が見つかりました!見事に膀胱の三角部(尿管が開口する部分)のみを残して膀胱がありません。急遽その膀胱の代わりの作成にとりかかりました。
●切り出した空腸
距離的な問題をみたすのは空腸と考えられ、その一部の腸を切り出して袋状に形成することにしました。
●膀胱の設置
切り出した腸の片側を縫合し、そしてもう一方を2本の尿管と繋ぎ袋状に作成しました。(青矢印)黒の矢印は、切除後縫合した空腸です。
●はじけ飛んだ膀胱
筋肉の隙間から見つかった膀胱です。まん中の穴の部分が尿管排泄口のあった膀胱三角部です。
●今後
急遽作成した空腸代用膀胱により排尿が可能になり、尿毒症は回避され顔色も良くなりました。しかし、膀胱がはじけ飛んでしまう程の強い圧力を受けているので、その他の臓器の影響が心配です。今後の予後が生死を分けると思いますが、なんとか頑張って欲しいです!
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12時49分