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肝膿瘍と肝葉切除 [News]
●ラブラドル、14歳、メス
食欲はあるが、熱が持続し、けだるい状況が続くとの主訴で紹介を戴きました。超音波検査で肝臓内の嚢胞を確認。血液データーは、驚くほどの異常はありませんでした。距離的な問題があるので、血液培養の結果がでる数日間、紹介戴いた病院へ戻り通っていただくことにしました。
●緊急手術
「急にお腹が大きくなり、膿が溜まり腹膜炎になっているようだ!」と報告を受け、再来院いただき緊急手術になりました。お腹の中は膿瘍が割け著しい腹膜炎を発していました。大量の膿を吸引し、嚢胞に癒着した胃、大網を慎重に剥がしながら左側の肝臓を切除しました。
●術後
点滴、徹底した疼痛管理、胸腔チューブによる持続吸引などの集中治療を行いましたが、残念ながら術後4日目で力及ばず亡くなりました・・・・大変残念です。数日後の血液培養検査では、サルモネラ菌による敗血症であったことが分りました。肝膿瘍自体、多い病気ではありません、また、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、ぎりぎりまで症状が分りません、定期的な腹部超音波検査を受けていれば、早い段階で検出できたと思うと悔しいです。
<病理検査結果>検査結果は、肝膿瘍の形成を伴う、高分化型肝細胞癌で、腫瘍切除は完全でした。
皆さん!腹部超音波検査(特に7歳を越えたら)を定期的に受診しましょう!
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緑内障 [News]
●緑内障とは?
緑内障とは、何らかの原因で眼圧が上昇してしまった状態を言います。先天的に緑内障になりやすい種(バセット、コッカーなど)がいます。また、後天性では、外傷、腫瘍、炎症により発生します。
●処置
初期であれば、まず内科療法(点眼)を行います。そして、コントロール不能になれば、レーザーによる毛様帯凝固(目の中の水を産生する場所を壊す)、房水路形成術などにより眼圧の排水を促します。
●予防
緑内障は、両眼に発生する傾向が強いので、片眼に発生した後は、予防的に正常眼に点眼を行います。
●予後
緑内障は、最初はコントロールできていても、段々と制御できなくなり、失明してしまう傾向にあります。眼圧が上がり過ぎと痛みが発生しますので、房水排泄路形成術、あるいは義眼挿入術を行うのが通例です。
●飼い主様へ
緑内障を早期に発見することは難しく、病院に来られた時には既に視力を失っていることがほとんどです。眼が赤い、まぶしそうな眼を発見したら、速やかに病院で眼圧測定を行うことをお勧めします。
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あっ!と言う間のできごとでした・・・・。 [News]
●一瞬のことでした 15歳、プードル、ジンジャー
飼い主さんが愛犬を連れて散歩をしていると、柴犬と思われる飼い犬が近づいてきたのでした。その後、自宅に帰ると足に血液が付いてることに気づき、慌てて連れてこられました。病院では、既に足を上げていましたので、神経障害も考慮しました。しかし、自宅では足を着いて歩いていたとのことでしたから、その問題は除外しました。麻酔をかけ、毛刈りをして良くみると、飼い主さんも気がつかないままに、一瞬でよくここまで怪我をしたな〜と疑う程の酷い傷でした。数か所に排液チューブを装着して、大量の洗浄水で洗い流しました。
●ついでに
いつの間にか抜けてしまった上顎の犬歯の跡に穴が開いたままの状態が続いていました。時々見かけますが、くしゃみを頻繁にする場合には、口の中をよくみてください。この様に穴が空いたままになっていることがあります。
●粘膜フラップ(弁)
穴の周囲を綺麗な創に切開し直し、唇の粘膜を剥がして、空いた穴にかぶせて修復します。この際、余計な骨も一緒に削り形成を加えることもしばしばあります。
●粘膜フラップ2
唇で作成した弁をかぶせ縫合したところです。弁に緊張感があると術後再び弁が破れて穴が形成されてしまいます。弁の大きさと傷を新鮮創として縫合することがポイントです。
結局、残っていた3本の歯を全て抜歯することになりました。飼い主さんは、残して欲しかったそうですが、如何に言っても難しすぎます。今まで、食事の際に歯がぐらつき随分と痛かったと思います。食いつかれたことは、非常に残念でありますが、空きっぱなしの穴を埋め、ぐらついて痛みを発していた歯を抜けたことが何よりだったと思います。飼い主さんからすれば、こんな出来事でもないと、なかなか15歳の高齢者に麻酔をかける気にはならないそうです。
翌日からは、食事もしっかりと取り、食事が遅いと泣き叫ぶまで元気になりました。
さあ、明日は退院です!