肝膿瘍と肝葉切除 [News]
●ラブラドル、14歳、メス
食欲はあるが、熱が持続し、けだるい状況が続くとの主訴で紹介を戴きました。超音波検査で肝臓内の嚢胞を確認。血液データーは、驚くほどの異常はありませんでした。距離的な問題があるので、血液培養の結果がでる数日間、紹介戴いた病院へ戻り通っていただくことにしました。
●緊急手術
「急にお腹が大きくなり、膿が溜まり腹膜炎になっているようだ!」と報告を受け、再来院いただき緊急手術になりました。お腹の中は膿瘍が割け著しい腹膜炎を発していました。大量の膿を吸引し、嚢胞に癒着した胃、大網を慎重に剥がしながら左側の肝臓を切除しました。
●術後
点滴、徹底した疼痛管理、胸腔チューブによる持続吸引などの集中治療を行いましたが、残念ながら術後4日目で力及ばず亡くなりました・・・・大変残念です。数日後の血液培養検査では、サルモネラ菌による敗血症であったことが分りました。肝膿瘍自体、多い病気ではありません、また、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、ぎりぎりまで症状が分りません、定期的な腹部超音波検査を受けていれば、早い段階で検出できたと思うと悔しいです。
<病理検査結果>検査結果は、肝膿瘍の形成を伴う、高分化型肝細胞癌で、腫瘍切除は完全でした。
皆さん!腹部超音波検査(特に7歳を越えたら)を定期的に受診しましょう!
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海外研修終了 [院長コラム]
●霧島噴火
今回の霧島火山の噴火の影響で6時間待たされました。なんでも、成田に入航するはずの飛行機を関空に急遽下ろし代行したそうです。10時間、いや実質16時間かかつたのですが、時差が無いので助かりました。
●放射線照射装置
今回お邪魔した専門病院の一施設です。アメリカでもオーストラリアでもスペースが十分に確保されていることを羨ましく思います。この放射線施設も我が病院がスッポリ収まるぐらいのスペースがありました。
近年、人間と同じく動物も腫瘍の発生率が高く、症例によっては放射線療法を行っていました。日本でも限られた大学にありますが、個人の病院で週に4、5例もの適応があるのには驚きです。
●終了、卒業式
実習内容は前回の記事のとおり約6時間、2日間でした。
実習後に整形外科担当医と看護師さんに記念撮影をお願いしました。その夜には、病院長であり軟部外科、腫瘍外科担当のRod先生から卒業証書を戴きました。
詳細に渡り、ご指導いただき有難うございました!
●帰国
帰国時も、噴火の影響で同じく6時間待たされました。本来、夕方6時に帰国予定が、夜中の12時半到着。交通手段も無く、航空会社が用意したバスに乗り、新大阪のホテルに到着した時には既に夜中の2時を回っていました。
過去に経験の無いほどの待ち時間で心底疲れ果てましたが、新たに習得してきた技術でお役に立てると思うと嬉しい気持ちになります。
留守中ご迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます。
引き続き宜しくお願いします。
院長 石崎俊史
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緑内障 [News]
●緑内障とは?
緑内障とは、何らかの原因で眼圧が上昇してしまった状態を言います。先天的に緑内障になりやすい種(バセット、コッカーなど)がいます。また、後天性では、外傷、腫瘍、炎症により発生します。
●処置
初期であれば、まず内科療法(点眼)を行います。そして、コントロール不能になれば、レーザーによる毛様帯凝固(目の中の水を産生する場所を壊す)、房水路形成術などにより眼圧の排水を促します。
●予防
緑内障は、両眼に発生する傾向が強いので、片眼に発生した後は、予防的に正常眼に点眼を行います。
●予後
緑内障は、最初はコントロールできていても、段々と制御できなくなり、失明してしまう傾向にあります。眼圧が上がり過ぎと痛みが発生しますので、房水排泄路形成術、あるいは義眼挿入術を行うのが通例です。
●飼い主様へ
緑内障を早期に発見することは難しく、病院に来られた時には既に視力を失っていることがほとんどです。眼が赤い、まぶしそうな眼を発見したら、速やかに病院で眼圧測定を行うことをお勧めします。