異物の胃内閉塞 [News]
ラブラドル ♀ ハッピー 5歳
●嘔吐
2-3日前から嘔吐があったそうで、昨日は美味しくなさそうに食べて吐いた。今日は食欲なし。
嘔吐の様子は、大量の水分が一気でるそうです。身体検査で、腹部の緊張なし、腸管に異物なし・・・・・となると胃の中の異物を疑いました。初診の方であれば、数日おいてからの検査としますが、以前から信頼を戴いる飼い主さんでしたので「お前に任す」ことになりました。
●レントゲン、超音波検査
直ぐに内視鏡検査とはいきませんので、先ずはレントゲン検査へ。胃内に何か異物?がある感じはしますが???次に超音波検査へ進みました。何も食べていないのに胃の皺が明確ではありません。そして、胃の中で液体が行ったり来たりしているのが怪しく思います。
●内視鏡検査
やはり怪しいので、内視鏡へ進みました。胃内に内視鏡を進めると直ぐに、嘔吐があるのに多量の胃液が貯留しています。胃液を吸って視野を確保し、反転して噴門部(胃の入り口)を観察。次に幽門部(胃の出口)へ進みました。
思った通り「いました、いました!」
●戦勝品
異物を掴んでから、胃の入り口を越えることが難しく、把持する部位を変更したりして四苦八苦しましたが何とか取り上げることができました。異物除去の処置では、いつも胃を通過して口から出るときの気持ちが何とも言えません。胃を切らずに済んだホットする気持ちと同時に獲物を取り上げた達成感があります。
しかし、この様な物を口にしないように気をつけることが何より大切で、ゴミをあさったり、便を食べたり、やたら食欲ある場合には、根底に潜む病気を診断することを忘れてはなりません。
ハッピーは、3時間後、何事も無かったように元気に帰宅しました。
講演会報告 [News]
●東京での講演会
以下講演会に講師として出向きました。
場 所:東京 中野サンプラザ
日 時:1月22日(日)
開 催:日本女性獣医師の会
タイトル:「良い加減の治療をめざして 腹腔鏡〜針治療まで」
<内容>
*石崎動物病院の一日
*病気にならない生き方
*腹腔鏡について
*当院麻酔法
*神経ブロック
*硬膜外麻酔について
*鍼治療
*オゾン療法
●日本女性獣医師の会について
会員は開業、官庁、教師、会社勤務など多岐にわたり、会員数約130名。毎年セミナーは3−4回開催され、動物園、水族館見学、また歌舞伎観劇なども開催されるそうです。
年会費;3000円
セミナー参加費;通常3000円 非会員5000円 学生1000円
条件;女性獣医師
会員は常に募集中です!
●久しぶりの東京
久しぶりの花の東京でしたが、やはり田舎とは違い、人の多さに圧倒されます。当日は、冷え込みが厳しく、やはり温暖な呉とは違いました。
さて、4時間のセミナーでしたが、腹腔鏡とその動画とを交えた症例、また、私の目指す統合医療の方法、一番大切に思うところの獣医師も動物も病気にならない生き方などなどをお話しすることで、少しはお役に立てたのではないかと思います。
皆様、ご清聴戴き有難うございました。
ご出席いただいた皆様へ
説明が不十分なところもあったかと存じます。お気軽に当院ホームページから質問をお寄せください、責任を持ってお答え申し上げます。そうそう、セミナーの翌日、早速に質問を戴きました。有難うございます。
石崎俊史
猫の鼻腔内腫瘍(鼻腔腺癌) [News]
●ぎん ♀ 14歳 アメリカンショートヘアー
マイコプラズマによる血液疾患が落ち着いて1ヶ月後、「鼻がつまった感じ・・・」と来院されました。触診すると片側に腫れを感じました。検査と処置を兼ねて麻酔を行いました。
●手術
腫れの部分を切開してみると、鼻の先端から後部まで前頭洞にぎっちりと腫瘍が詰まっていました。また、骨が一部溶解し、特に左側は腹側の鼻道の溶解が著しくありました。
●鼻腔腺癌
細胞の顔の通り、低悪性の腺癌でした。人間であれば重粒子線の治療を行うところですが、動物ではそれは適わいませんので、外科手術が一番の適応となります。転移は比較的まれで、今回の様に腫瘍が大きくなり周辺組織を圧迫、破壊することが問題です。
●術後10日目
抜糸が終わったばかりの銀ちゃんです。機嫌がよく鼻が開通したので、食欲も旺盛になりました。腫瘍の完全切除はできていませんが、生活の質は明らかに向上しています。これより免疫を増強して、この癌の克服に向けて頑張りましょう!
●その後
手術して3か月が経過しました。再び腫れが見られますが、元気はあります。再度の手術も検討していますが、高齢で慢性腎不全を持っていますので、慎重に検討していきたいと思います。3か月は、人間で言えば手術後1年が経過したことになります。これからも無理せず頑張りましょー!