犬の副腎皮質機能亢進症 [News]
●ロビン、♂、14歳、Mix
主訴は「白内障を見て欲しい」でした。約1年前から目が白くなりしょぼしょぼするとのことでした。
●目の観察
目を観察、検査すると、白い濁りは角膜表面に存在する問題であることが分かりました。よくあることですが、飼い主さんの白内障の認識は、目が白くなると白内障と思ってしまうことです。白内障とは、目を正面から見て、角膜、虹彩、そして、その奥に位置するレンズが白く濁る事を言います。また、白いレンズの濁りは核硬化症との鑑別が必要になります。
●角膜色素沈着
今回は、白内障ではなく角膜上に白い沈着物があることを白内障と誤認されていました。角膜上の白い変化としては、@カルシウム、コレステロールなどの代謝産物の沈着、A角膜ジストロフィー(遺伝性の角膜変性)B角膜浮腫が主たる原因となります。稟告と血液検査から副腎皮質機能亢進症を強く疑いました。コレステロール値は670(正常値312)と高値であり、角膜上の沈着物はこのコレステロールによる変化であることを強く疑いました。以上より次に詳細な検査をお勧めしました。
●右難治性角膜潰瘍
以前もとりあげましたが、角膜上皮とその下の基底膜接合不全を起こす病気です。しょぼしょぼの原因は、この潰瘍であることが分かりました。
●左浅在性潰瘍
左目は、角膜縁部分に浅い潰瘍(↓の下で緑色に染まっている所)が発見されました。
●副腎皮質亢進症
これも以前取り上げましたが、副腎から副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気で、多くの原因が下垂体腫瘍です。下垂体にアプローチできませんので、副腎からの分泌を内服で抑える治療を行います。主たる症状は、多飲多尿、腹部膨満、皮膚の非薄化、呼吸速迫(ハァハア)などで、感染しやすくなるので膀胱炎を伴っていることが多くあります。
臨床症状、超音波検査、血液生化学検査、尿検査⇒ホルモン測定で診断を行います。
超音波検査では、副腎腫大以外に、前立腺嚢胞、胆嚢ポリープ、肝腫大が見つかりました。その後、ホルモン測定検査により下垂体性副腎皮質機能亢進症と診断されました。
猫の結膜炎 [News]
猫の副腎皮質亢進症 [News]
●ソラ ♂ 年齢不明 日本猫
「痩せて元気がなく、胸が化膿している」主訴で、野良ちゃんですが、ご厚意で来院されました。
●胸の化膿
胸がおかしな形で穴が開き化膿がみられました。やけに皮膚が薄く脱毛が見られます。副腎皮質機能亢進症を疑い、超音波検査へ進みました。
●超音波所見
副腎の幅と長さの異常値は、幅左>7.1p 右>4.7p 長さ左>19.5p 右13.7p ですので、幅に関しては十分当てはまります。疑いが強いので内分泌検査を行うことにしました。
●副腎皮質機能亢進症
副腎皮質機能亢進症は、犬ではよく見かける内分泌疾患ですが、猫では多くありません。多く(80%)が糖尿病を併発し、脱毛(60%)、皮膚が薄くなり脆くなります(45%)。今回の胸の傷も、皮膚の脆弱化(もろくなること)により発生したものと思われます。