犬の巨大睾丸腫瘍 [News]
●睾丸摘出 ゴンタ 15歳 ♂ ラブラドルレトリバー
「前から少し気になっていたが、今年になってやけに大きくなった!」「もう歳だから、このままで良いのでは?」とお話しいただきましたが、余りに睾丸が大きいため歩くたびにフラフラしている感があり、我々もゴンちゃんとは長い付き合いなので居たたまれず「術前検査をしっかり行い、優しい麻酔で管理しますのでご安心ください」と説得して手術をさせていただきました。
●ついでに脾臓摘出
術前身体検査、そして超音波検査で見つかった脾臓腫瘤も同時に切除しました。脾臓の腫瘍は、大きくなり過ぎると突然破裂して失血し、時には出血性ショックで死亡してしまいます。良い機会でしたので、積極的に手術させていただきました。
●14日後のすまし顔
傷は抜糸が必要ない手技を行ったため往診で傷のみの確認をさせていただきました。飼い主さんからは「以前より元気になって困る」と我々にとっては嬉しいお言葉を戴きました。
ゴンちゃんは、15歳とは思えぬ元気の良さです。睾丸、脾臓に腫瘍ができたことは、真摯に受け止め、これより「気・血・動」を意識し改善し、元気に長生きしていただきたいと思います。まずは、カビも生えないオヤツのジャーキーは止めましょう!
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猫の乳腺腫瘍!? [News]
●「乳腺腫瘍?」 ハナ 日本猫 13歳 ♀
猫の乳腺腫瘍の8割は悪性と言われます。手術は、犬と異なり積極的に全乳腺を完全切除することが通例です。今回は、他院で乳腺腫瘍の手術を勧められ、迷いがあったためセカンドオピニオンとして来院されました。
確かに、乳腺は腫脹して、場所によっては粒々した箇所があります。しかし、どうも硬さと腫れ具合が腫瘍とは異なるので、子宮の異常を考慮して、超音波検査をお勧めしました。
●乳腺腫大
全体に腫大した各乳腺。
●超音波検査
膀胱前方に黒く抜けた円形の拡張した子宮が観察されました。
●腹腔鏡下卵巣子宮摘出術
超音波で異常が見つかったため、腹腔鏡で卵巣子宮摘出を行いました。
●摘出した子宮および卵巣
左右の子宮は大きく腫大し膿状の分泌液が貯留していました。
●術後
腹腔鏡を使用したため5mm、3カ所の切開で終われました。
術後の痛みも少なく、元気よく夕方にはお帰りいただきました。
抜糸後、徐々に乳腺の腫脹が軽減してきました。今回は、子宮の異常による乳腺の腫大と診断しました。しかし、今後定期的に乳腺の様子を観察していくつもりです。
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猫の尿閉(血餅閉塞) [News]
●ツキ ♂ 日本猫 4歳
猫の下部尿路疾患は、順に@突発性膀胱炎A尿石症B尿道栓子C尿路感染症があります。3番目の栓子の原因は、尿道に結晶(主にストルバイト)が閉塞することで尿が排出されなり。この状態を尿閉と呼び、時間経過により尿毒症を発生します。
通常の栓子形成は、ストルバイト(マグネシウムとCaの結晶)ですが、ツキちゃんの場合は、閉塞物の内容が血餅*でした。
*血餅とは?
血液中のフィブリン(繊維素)が血球と絡み合って沈殿したもの。
この血餅の原因は、どこかに出血があるために発生します。一番に考えられることは、膀胱炎による力みにより膀胱粘膜に圧がかかり亀裂が生じ出血が生じてしまうことが考えられます。
栓子を除去時、ECOで膀胱内の大きな血餅を確認しました。繰り返し閉塞する場合には膀胱切開による止血、会陰尿道瘻形成術を検討しましたが、幸いにも翌日に大きな塊が排出され、それ以降は止血剤により安定しています。
また、7日後のエコーでもたくさん存在した血餅が見られなくなりました。
このケースでは、通常のストルバイト溶解食および予防食は効果がありません。