犬の股関節脱臼 [News]
●プードル 7歳 ココ ♂
連休後半に緊急で来院されました。主訴は、「兄弟喧嘩後、足を着かなくなった!」でした。身体検査では、患肢に加重することができず、また、伸ばすことで痛みを生じました。そして、大腿骨頭の位置が上に上がっていることから、股関節脱臼を仮診断しました。以前から時々、足を挙げることがあるとも聞きましたが、それは先天的な膝蓋骨脱臼から発生していると察しました。鎮静後、レントゲン写真を撮影しました。
●レントゲン撮影
左の股関節(↓)が脱臼しているのが分かります。
●バンテージ
脱臼を整復後にバンテージを施しました。約二週間この形を維持してもらいます。
●再レントゲン撮影
バンテージで固定した後に、再度レントゲンを撮影して、確認しました。間違いなく寛骨臼に大腿骨頭が位置していることを確認して終了しました。
今回は、受傷後すぐに来院されたため、全身麻酔が必要にはなりましたが、無事に整復できました。時間が経過するほど、整復が難しくなるので、速やかな対応が望まれます。
*股関節脱臼とは?
大腿骨と骨盤のをつなぐ関節を言います。その関節がはずれてしまう状況を脱臼と呼びます。通常は交通事故などで大きな力が加わった際に外れ、前(後)方向へ脱臼してしまうことが起こりますが、軽い押さえつけでもタイミングと関節のポジションがあえば脱臼に繋がら事があります。外科手術に至る前に、外れたら速やかに対応することが大切です。
関連タグ :
猫の下眼瞼の扁平上皮癌 [News]
●日本猫 19歳 ♀ シャチ
瞼の下に発生した皮膚病が始まりでした。細胞診で悪性所見を認め、瞼の切除をお勧めしましたが、年齢が年齢だけになかなか手術の許可をいただくことができませんでした。やっと了解戴いた時には、既に病変が大きく広がりをみせ、眼球を含めて広範囲に切除することを余儀なくされました。
●手術
広範囲の眼瞼切除と眼球摘出を行い、首の後方から皮膚を転移して眼球部分を覆いました。飼い主さんには刺激の強い手術となりましたが、やむおえません。
●病理検査
検査結果は、予想通り扁平上皮癌でした。猫の眼瞼辺縁にみられる扁平上皮癌は、浸潤性があり、通常、白い毛を持つ猫の下眼瞼に形成されます。病理診断の報告では切除範囲(マージン)は完全でした、これより免疫を増強する治療に入ります。
●3ヶ月後
術後暫く調子の悪い日々が続きましたが、今は、食欲も戻り、機嫌も良く、毛も生えて落ち着きました。扁平上皮癌と腎臓の治療は、漢方薬とハーブを併用して暫く治療が続きます、20歳を目指して頑張りましょう!
飼い主さんの努力に感謝
猫の紐状異物 [News]
●雑種 4歳 ♀
「内視鏡で異物を取って欲しい」のリクエストで来院されました。ハムを包む紐を飲み、一部は嘔吐で出たが残りがまだ存在するとのことでした。翌日に、レントゲンで異物らしくものを確認しました、しかし、気かかりな点は「腸が集まっている像」でした。「腸の集塊」とは、紐状の異物を飲んだ際に起こる状況で、消化管に入り込んだ紐が引っ掛かり、その張力により腸がアコーデオンの様に重なってしまう状態で、放置すると腸の血行障害、断裂が生じます。
●内視鏡処置
心配しながら、まずは内視鏡で胃内にアプローチしました。飼い主さんの言われる通り、胃のTV画面には網らしき物を認めました、大型鉗子で引っ張るも抵抗感があり、まったく動く様子がありません、無理に引っ張れば裂傷を生じる可能性があるため、開腹手術へ移行させていただくことにしました。
●紐に牽引される小腸
小腸内の紐と胃内に残る紐が引っ張りあい、アコーデオン状に集まっている姿が見えました。幸い太い紐であったために腸管の断裂は免れました。
●紐のリリース
摘出後の腸には、多少のダメージが残りました。腸管が一部赤く変化しているところです。牽引状態が長時間に及ぶと生死にかかわる状況になります。
●摘出物
犯人は、まさにハムを包む紐でした。腸管のダメージが軽度であったため速やかな回復が望めます。
私見ですが、猫に紐状異物による誤飲が発生するのは、猫の舌の中央には、尖った針状の返しがついているのが原因と思います。いったん紐を舐めだすと、手で引っ張り出すこともできず、後戻りできない状況に陥りるのではないかと思います。
猫ちゃんの側には、裁縫道具などを置かないよう普段から注意しましょう、そしてもし誤って飲んでしまっても、無理yり引っ張り出さないようにしましょう!