犬の眼瞼上部腫瘍 [News]
●チワワ もも太郎 13歳 ♂
元々は小さな出来物でしたが、放置する間に大きく育ってしまったそうです。心臓がかなり悪いため、何度か凍結療法で小さくしましたが、今回は、根治目的で完全切除を試みました。
●術後
頭頂部の皮膚を大きく切開し上眼瞼上部に移動して皮膚の再建をおこないました、スペースに溜る血液を吸引するために閉鎖式ドレインチューブも装着しました。
心不全と同時にクッシング(副腎皮質機能亢進症)を併発しているため、感染症に注意が必要になります。術後の経過は順調、翌日から食欲旺盛でやや引きつりながらも瞬きも出来る様子です。瞼の引きつり具合によっては、2回目の形成手術が必要になるかもしれません。
●抜糸後7日目
予想より眼瞼の引きつりが治まり、心配していた2度目の形成外科は不要な仕上がりでした。瞬きも自然に近く、笑顔でポーズしてくれました。


良性の腫瘍と言えども出来物が二度とできない身体を改革しなければなりません。日常生活から社会毒を排除し、減量と定期的な断食にトライし、腸を大切にする食事をいただき、新たな出直しの機会が訪れました!
猫の消化管リンパ腫と狭窄 [News]
●きき 猫Mix 10歳 ♂
慢性腎不全で来院され、治療後安定しましたが、その後定期的な嘔吐を繰り返すため、他の原因を探すべく追加検査を行うことになりました。嘔吐の性質は、一気に大量の胃液を排出するため、閉塞を考慮しバリウム検査を行いました。
●バリウム検査
バリウムの通過延長が見らるものの、直腸まで排出されていることを確認しました。しかし、変わらず症状が継続するため、内視鏡による検査を行いました。
●内視鏡検査
胃、十二指腸、空腸における肉眼所見は非常に綺麗で異常をみとめませんでした。念のために病理検査提出用の組織を採取しました。
●再バリウム検査
病理検査は通常7〜10日の時間を要します。症状は内科処置を継続するも変化がないため、再度バリウムを飲んでもらう事にしました。
●試験的開腹
バリウム検査の結果に異常が見られるため、試験的に開腹させていただくことにしました。病変は僅か5mmの狭窄で、部位は回腸部分でした。
●結果
病理検査は未だ届いていません、回腸部分は狭窄を考えています、なぜならば、狭窄部位における肉眼的炎症が見当たらないからです。術後の状態は良く、嘔吐は全く無くなりました。リンパ腫の診断が下れば、抗癌剤は使用せず、環境改善と、漢方薬による治療を開始する予定です。ちなみに、白血病ウイルスは陰性でした。
実習生感想文 [実習生感想文]
石崎動物病院の皆様、ご多忙の中5日間実習を受け入れて頂きありがとうございました。僅かな事でしかお役に立てず、皆様の診療を観察する時間が多かったのですが大学の講義や実習では得られないものを、肌で感じ、聞くことができました。
私の大学の動物病院ではCTやMRIなどが設置されており、普段から高度画像診断を多用しています。これらの腫瘍の局在や病変部の特定を簡単に知ることができとても便利な設備に囲まれた診療に、私は慣れてしまっていました。
しかし、一次診療を行う動物病院の方々は限られた環境・情報から、適切な治療を選択しなければなりません。
院長先生を始め皆様が実施されている振動療法はとても興味深く、奥の深いものだと感じました。正直に言いますとその信頼性に疑問を感じていたのですが、診療の様子を見るにつれて、ほぼ侵襲もなく多くの情報を得ることのできるこの手法は
オーナー様にも患者にも有益で優しいものではないかと思うようになりました。そのような診療法を間近で見て学ぶことができたことは、とても貴重な体験でした。
また、実習初日から診察数の多さにも驚きましたが、問診や検査などで行ったり来たりを忙しなく繰り返し疲れていると思われるVTの方々がオーナーの方に笑顔で対応し、素早いながらも丁寧に患者を扱う姿勢に感動するとともに、将来獣医師を目指す立場の自分としては参考にしなければという思いがわき上がってきました。このような姿勢は、病院の皆様が持つ理念のすばらしさと大切さを感じることができました。
短い期間でしたが、統合医療の様子を始め、動物病院の現場、先生方やVT方の対応など多くのものを見て感じ学ぶことができました。今回得たものを将来生かせるよう、岩手でも日々精進いたします。改めまして、この度は実習をさせて頂き本当にありがとうございました。 岩手大学 5年生 高森広樹