子宮蓄膿症 [よくある質問]
中年以降の雌のワンちゃんに多い病気です。
●原因
発情に伴い分泌される黄体ホルモンは、子宮内膜増殖性変化を促す。毎回、発情が繰り返されると、時に嚢胞性増殖と炎症が起こる。この状況により外部からの防御機能が低下し、感染が生じる。
●症状
解放性のタイプは、外陰部からの膿状の「おりもの」を見る。
元気、食欲に変化のない場合もあるので注意。
閉塞性の場合には、腹腔内に膿汁が漏れ出し、腹膜炎を生じ死に至ることもある。
例)ダルメシアン 9歳 20kg
発情後、1か月して調子が悪くなったと来院。
以下は膿が溜まった子宮の超音波像と実物の1.35kgの膿が詰まった摘出子宮
例) 猫Mix 4歳 3.9kg
腹腔鏡下避妊手術の際に子宮蓄膿症を発見
●犬と同様に膿が詰まった映像が見れます
ノミの大発生!? [院長ブログ]
7月に入り、蚤アレルギーで来院される方が昨年より多くなりました。
腰背部(腰の背中側)以降の病変の80%がノミアレルギーと言われます。特徴的な症状は「じっとしていて、急に振り向いてガツガツと咬みつく」です。蚤がいなくとも、この症状と腰部の黒コショウ様の蚤の排泄物を見つけたら、まず間違いはありません。
当方では、積極的に蚤駆虫薬使用をお勧めしていませんが、状況に応じての使用はお願いしています。また、ノミ取りシャンプーはお勧めしていません。
ちなみに、最も安全な除去方法は・・・
●ノミ取り櫛を使用する
●ハーブを振りかける
しかし、大量発生している場合には、上記の方法では追いつきません。
他に大切なことは、周囲の環境(卵、蛹)を一掃することです。
掃除機などで徹底的にそれらを吸引する必要があります。また、他に同居の動物がいる場合には、同時に駆虫することをお勧めします。
成虫
●♂2mm ♀3mm
●寄生後直ちに吸血開始
●吸血後36〜48時間以内に産卵開始
●一匹の雌で生涯約2000個もの卵を産む
●成虫は寄主に寄生してから、48時間以内に交尾して産卵を始める。交尾した雌成虫は1日平均20〜50個の卵を産卵する
成虫期間は2〜4週間程度である
卵
●長径 0.5mm
●低温、高温、乾燥に強い
●湿度50%で数日でふ化
●被毛から滑り落ち、滑りやすいのでそこら
じゅうに散乱する
幼虫
●2〜5mm
●掃除機でも除去しにくい
●餌は成虫の糞、人の食べ残し
せめて、7歳越えたら腹部超音波検査を! [院長ブログ]
昨日、脾臓摘出の緊急手術がありました。そして、ここのところ3件と続きます。
腫瘍の多くが老齢の病気です。年老いて免疫力が低下し、その腫瘍は、徐々に時間をかけて大きくなっていきます。特に腹部における腫瘍は、なかなか飼い主さんレベルでは、発見されず、よほど大きくならないか、あるいは、それに伴った症状が現れないと気づいてもらえません。
こんな話をよく耳にします。
「最近、どうも散歩の距離が短くなったかな〜???」
「食欲はあるが、時々しんどうそうにする気がする?」
「最近、元気だが痩せてきたようだな〜?」
しかし、上記の徴候に気付いていながらも「もう年だから」とほとんどの飼い主さんが簡単に片づけています。
先日の例は、大きくなった腫瘍の一部が突然裂けて多量に出血し、ショック状態で運ばれ緊急手術になりました。先週の例は、大きくなった腫瘍から慢性的に出血し、お腹が目いっぱい膨らんでいるのですが、飼い主さんは、それには気を留めず、食欲がなんとなく無いからと来院され、超音波検査後、手術になりました。
このように「緊急」か「いよいよ」の状態になって、ようやく来院されます。
普段から身体検査と定期的な腹部超音波検査を行うことで、早期発見ができます。
十分に認識いただきたいことは、腫瘍の多くは年寄りの病気であり、気になる僅かな症状が出た時に「年だから」と絶対に決めつけないで欲しいのです!
動物は、自分で言葉を伝えることができません、ですから飼い主さんはその僅かなサインを見逃してはならないのです。
7歳越えたら癌年齢、定期的な検査を積極的に受けましょう!









