猫の急性膵炎2 [News]
●ナナ 猫 13歳 ♀
「虚脱」の主訴で他の先生よりご紹介戴きました。
体温34.9度、血圧低下、虚脱の為、急ぎ静脈を確保し、点滴を行い入院戴くことにしました。一般血液検査では、特に異常は見られません。
●入院
当日、速やかに血圧を確保することができましたが、痙攣様症状が一度ありました。翌日は体温は37.9度、そして下痢が見られました。
3日目は、体温40.7度、食欲増進剤で食欲(+)。外注していた膵臓特異リパーゼの結果は膵炎でした。この検査の感度は79%、特異性は82%の検査です。継続する下痢は、初日の低血圧による影響か膵炎によるものかは不明でした。
5日目、食欲は旺盛になり、順調な経過です。体温も徐々に平温に近づいています。しかし、今回の発熱の原因は、感染症があったかも知れませんが不明です。
●まとめ
猫の膵炎は犬の様に特徴的な症状を示さないのが特徴です。
その中でも低体温(68%)、高コレステロール血症(75%)が数少ない症状です。犬と同様に脱水を取り、嘔吐を止めて、できるだけ早く経鼻チューブなどを装着して食べさせることがキーポイントになります。
12月のセミナー案内 [News]
寒波が入りこみ随分と冷え込んできましたが、皆様に於かれましてはお変わりありませんでしょうか?さて、今回は、基礎的なことを学びたいと思います。何かと忙しい年末ですが、万障繰り合わせてご参加ください。
日 時 12月21日(日曜日)
場 所 つばき会館3階 研修室
広島県呉市中央6丁目2-9 0823-25-3593
時 間 午後 12時15分〜17時
会場は、10時から開いています。
講 師 鳩谷先生(大阪府立大学内科学研究室 助教授)
参加費 8,000〜10,000円
テーマ 抗生剤の正しい使い方、不明熱など
会員外の参加も大歓迎です、事務局までご一報ください。
どんな些細な質問も歓迎です、皆で楽しく学びましょう!
大和臨床研究会 事務局 0823-21-4175
膀胱鏡による犬の膀胱結石排出 [News]
●あい 日本犬 8歳 ♀
血尿、頻尿が1か月前から続く主訴で来院されました。超音波では、結石を確認するも尿検査では結晶の手掛かりがありませんでした。
この度、麻酔下で膀胱鏡で検査を行うことにしました。
●膀胱鏡
膀胱鏡は、腹腔鏡と同じく、2.7mmのカメラを外套に挿入し、テレビカメラを観察しながら結石を把持したり、組織検査を行う機材です。残念ながら猫、小型犬では、口径が合わずに使用できないこともありますが、膀胱鏡を使用することで、切開なしに、あるいは、小切開で手術が行えることで痛みの大きな軽減と早期回復につながります。
●膀胱内結石
膣から上記の器材を挿入して膀胱内を観察しました。右側に見えるのが小さな結石集塊です。膀胱鏡で確認しながら洗浄を繰り返し結石を排出しました。
●蓚酸結石
結石の分析は、蓚酸でした。蓚酸結石は、食事療法で溶解することができません、今回は幸い結石が小さく、膀胱鏡が挿入できる尿道径があり、検査の採取、洗浄排泄を行うことができました。
其の後の血尿、頻尿はなくなり順調な回復です。今後は、結晶ができないように特別食による食事管理が必要になります。暫くは、定期的な尿検査を続けることも大切です。