広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

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猫の眼窩下腫瘍 [News]

●トラ 日本猫 約15歳 ♀
主訴は「口内炎が悪化して食事ができない、そしてヨダレが出る」でした。お話によると9か月前から、地元の先生に定期的に口内炎の注射を受けていたそうです。確かに口からヨダレが出ていますが、同時に右目がやや腫れた感じがあります。痛がって口を開けさせませんが、機嫌をとりながら一瞬開けた検査では、激しい痛みを伴う口内炎とは思えません、検査の為に麻酔をかけさせていただく事にしました。

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●口腔内病変
状態を整えて麻酔下で口腔検査を行いました。軽度の口内炎は伴っていますが、この程度では食欲がなくなることはありません。問題は左側の歯肉に見られる怪しい浸潤病変でした。

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●治療
あえて今回は検査用の組織は提出せず、食道カテーテルを装着して終了しました。診断は「左眼窩下部における腫瘍の発生であろう」としました。その腫瘍の圧迫により、失明と左の眼球突出が生じたものと断定しました。

今後どれだけ頑張れるか分かりませんが、抗癌剤などは使用せずに、振動療法とサプリメントで免疫を上げて生活の質を高めながら、出来るだけ快適に余命を過ごしていただけるように一緒に頑張る所存です。

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猫の膿瘍と抗生剤について [News]

●かよちゃん 猫 6歳 ♂
「足を引きずる」主訴で来院されました。脱水が著しく、左の前肢が大きく腫れて、化膿していることが直ぐに分かりました。点滴を2日間行い、状態を改善して切開、排膿を行う計画をたてました。

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●膿瘍
膿瘍とは、細菌感染を生じ、袋状に膿が溜まる状態を言います。猫の喧嘩には膿瘍は付き物ですが、久しぶりの激しいものでした。

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洗浄処置を進めると筋肉の一部が溶けているのが分かりました。筋肉欠損による機能障害は残らないと思いますが、その激しかった喧嘩の状況が想像されます。神経に影響がなければよいのですが・・・・?

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●処置後
壊死した皮膚を除去し、排液チューブを装着しました。
術後の抗生物質による処置は、当院では通常使用しません。今回のケースの様に著しい膿瘍でも、排液ルートが確実に確保されれば、膿は重力に従って排出されます。理油は、以下に述べますが、全身感染でないかぎり抗生剤の使用は控えるべきだと考えているからです。

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●抗生剤の副作用
日本は世界で一番抗生剤の使用量(人)が多く、安易に抗生剤が繁用されています、しかし、副作用はそれはそれは恐ろしいものが記載されていのをご存知でしょうか?ちなみに、古典的なセフェム系の添付文書には、@ショック、アナフィラキシーA急性腎不全B溶血性貧血C偽膜性大腸炎D中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群E間質性肺炎などが挙げられています。

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我々は、本当に必要な時に、本当に必要な種類の抗生剤を短期間(3〜7日)のみ使用しなければなりません。また、薬をもらわないと不安がる飼い主さんは、上記の副作用を十分に認識し、耐性菌(漫然と使用することにより抗生剤が効かなくなる菌が出現すること)が出現すること。つまり、バンコマイシンしか効かない耐性ブドウ球菌(MRSA)、さらには最近ではバンコマイシンも効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が出現しています。我々の未来を見据えて安易に使用することは避けて欲しいと切に思います。


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●その後
切開処置後10日目の写真です。しっかりと足を着けるようになり、食欲も旺盛です。来週には帰れるかな?

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犬の骨肉腫 [News]

●ヴィヴィアン 4歳 ボルゾイ ♀
主訴は「足を着かなくなった!」でした。病歴は、「車から降りるときに足を引っかけそれから着地しなくなった」です。急性とのことで膝の十字靭帯断裂をまず疑い、鎮静をかけて精査させていただく事にしました。鎮静で筋肉を弛緩させて膝を検査するも断裂時の前方へ滑るサインはみられません、しかし時に痛みを発します。飼い主さんの「骨肉腫の可能性はありませんか?」の一言で、「ハット」。今度は、骨に圧力をかて観察することにしました。すると部分的に痛みの反応あり、嫌な予感を持ちながらレントゲン撮影に進みました。

●診断
レントゲン写真は、骨肉腫を思わせる所見がありました。典型的な骨膜反応は、太陽の炎所見ですが、ヴィヴィアンは軽度の骨膜反応があり、加えて骨髄における虫食像が認められました。
青:虫食い像
赤:骨膜反応

☆骨肉腫の典型的な特徴は、大型犬の中年に長骨骨幹端の近位.遠位1/3部に発生すること。レントゲン像では、@不規則あるいは太陽の炎様骨膜反応A骨皮質の崩壊B境界不明瞭な正常骨と異常骨の移行帯などが典型的所見です。

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●健康肢
上記の患肢と比較するとよく分かります。

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●骨髄塗抹
骨肉腫の治療は、早期の切断処置が常です。しかし、レントゲン写真と痛み所見のみで断脚をする訳にはいきません、追加検査により診断を確定する必要があります。急ぎ、骨の一部を採取して骨髄の塗抹と病理検査を行いました。

塗抹所見(以下の異常が認められました)
@核の大小不同
A核/細胞質の上昇、ばらつき
B粗造なクロマチン凝集

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●病理検査
残念ながら結果は骨肉腫でした。
骨肉腫の予後は決して期待できるものではなく、多くは肺へ転移します。先ずは、著しい痛みを除去し、今後の治療はいくつかの治療オプションを飼い主さんとじっくり話をしながら決めたいと思います。

●断脚術
上記の結果により、右後脚を股関節を含めて全て除去しました。

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●術後翌日
激しい痛みで涙を流した数日が嘘のようで、良い表情になりました。翌朝は食欲が出てササミを平らげました。

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骨肉腫情報
犬の骨肉腫は、骨腫瘍の80%を占め人の発生率の8倍あり、18〜24か月と7歳齢の2峰性の年齢分布が見られます。鑑別診断には、血管肉腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨の真菌、細菌感染があります。誠に残念ながら極めて悪性度が高く生存期間は長くないと言われます。

●予後
予後は良くないと言われますが、ネガティブな発想は止めて、希望を持って楽しく笑顔で過ごしていただきたいと思います。
本来備わる自然治癒力を呼び戻し、力を抜いて前向きに頑張りましょう!

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