冬子と命名 [院長ブログ]
●たぶん3カ月 ♀ Mix猫
「歩けない」主訴で来院されました。動けない状態を見かねて奇特な方が保護されました。起立不能、中程度の脱水、ノミ3+、口腔粘膜蒼白、左肺後部に捻髪音が聞かれました。ヒゲは火で焼かれたのか、チリチリに縮んで短く変化しています。
●レントゲン所見
肺音に異常があるので、レントゲン撮影を行いました。
心臓に異常がないことから、急性の細菌性肺炎と仮診断し、抗生剤の治療を5日間行いました。6日後のレントゲンでは、ほぼ炎症が治まり肺音も正常に復しました。
初日
6日後
●冬子と命名
保護した飼い主さんが、季節柄「冬子」と命名されました。10日後の経過は、食欲旺盛、右半身に麻痺は残るもチョロチョロと動き回って、逃げ足が速いそうです。いたずらされた故に障害が発生した可能せいがありますが、冬ちゃんは誰も恨むことなくリハビリに励み、今を精一杯生きています。今回、保護された飼い主さんの愛に感謝です。
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犬の非心源性肺水腫 [院長ブログ]
●シーズー 3ヶ月 ♀ トミー
1月2日、お正月真っ只中、10時頃。「最近、咬みつきが酷くなり、躾として口を持って押さえつけたんです」と優しそうなご主人から緊急に電話が入りました。直ぐに来ていただくと、それはそれは優しいご主人が心配そうにトミーを抱えてやってこられました。3カ月は、元気溢れる年齢です。しかし、大人しく打ち沈んだ感じが見られます。急ぎ身体検査を行うと、ヨダレ、口腔粘膜の蒼白、脈圧が弱く感じます。努力呼吸はありますが、肺での捻髪音は聞こえません。
鑑別診断のために、レントゲン、心電図、超音波、血液検査を行いました。
●要因
稟告と超音波検査(逆流なし)で心因性肺水腫を除外し、非心源性肺水腫をリストアップしました。リストは@神経原生A電気コードをかじるB上部気道閉塞が挙げられました。今回のお話から、押さえつけられることによる気道閉塞と怖かったのでしょうか、カテコールアミンの放出により全身血管が収縮し、肺循環へ血液が一気に流れ込んだ影響で過負荷が起こり肺水腫が発生したと考えました。
●肺水腫(レントゲン写真)
肺は空気を含むのでレントゲン上では黒く映ります。肺に水が溜まれば白く変化し、さらに気管支が浮き出る像(エアーブロンコグラム)が特徴的所見です。
●治療
レントゲン写真と臨床症状から利尿剤の血管内注射を行いました。血圧低下もあることから併せて強心剤を併用しました。20分すると利尿剤の効果で尿が大量に排出されました。さらに10分後には、苦しい呼吸困難から解放され、鳴きながらチョロチョロ動くまでに回復しました。
念のために夕方まで預って帰宅する予定です。
●反省
過去の経験では、非心源性肺水腫は電気コードをかじった例しか経験がありませんでした。今回、優しく真面目なお父さんが、躾の為に行った行為でしたが、普段が優しいのでよほど怖かったのでしょうか?動物の性格に合わせた適度の躾が必要であることを学びました。
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猫の水晶体(レンズ)脱臼 [院長ブログ]
●くーち ♂ クロ猫 13歳
「目が見えていない気がする」と来院されました。ペンライトで観察すると前房内にレンズがずれて位置していることが分かりました。レンズの前方脱臼です。反対側も以前に脱臼していることから、レンズを釣り上げているチンシ帯の形成不全、小水晶体などの先天的異常が考えらえます。眼圧は低め(5〜8mmHG )で軽度の炎症があります。隅角(炎症で排水溝が詰まる)が閉鎖されると2次的に緑内障が発生するため、速やかに手術をすることを決めました。
●摘出レンズと予後
角膜を切開し、前房内のレンズを取り出しました。
術後の眼圧は11〜13mmhgと安定して、炎症もほとんどなく視力も回復しています。この度は、気付くのが早く2次性緑内障になる前に手術ができたことが幸運でした。
●術後
視力(右眼)も回復し、玉を取れるようになりました。
めでたし、めでたし。













