猫の眼窩下膿瘍 [News]
●日本猫 17歳 はな ♂
「数日前より顔が腫れだした!」主訴で来院されました。怒って触らせてもらえませんので、波動測定で大まかのところを把握して鎮静後、血液検査を行い状態を再確認して全身麻酔をかけさせていただきました。
左目下が大きくはれ上がり、波動感がありますので液体が貯留していると思われました。切開すると嫌気性菌が原因と思われる大量の膿がでました!
●他にも
左上顎の犬歯部はすでに折れてありませんでしたが、その深部を探ると食塊と異物で結石を形成していました。(黄色矢印)
犬歯奥の鼻腔(黄色矢印)から出てきた長年の堆積物の一部です。
後方の顔の腫れは、第四前臼歯側方からの感染でした。性格と年齢的なことを考慮して抜歯を行いました。(青色矢印)
●縫合
左右の犬歯部分を洗浄縫合し、左奥の前臼歯部は一部を排液の為に開放したままとしドレインチューブを装着しました。
●翌日
気分が良くなったのか、昨日とは別人で頭をなぜなぜさせてくれます。17歳の高齢ですので、本日はもう少し点滴を行い明日帰宅していただく予定です。
ご無事で一安心。
歯の処置をすると性格が変わることがあります、その理由はいつもいつも口が痛くて憂鬱で、イライラしているからなのです。★★★
猫の喉頭蓋の腫脹と全抜歯 [News]
●ミミ 日本猫 12歳 ♀
口内炎の痛みにより食事が4日前から全く取れず、ご検討の結果3日後に歯を抜く処置を行うことになりました。野良猫ちゃんのために抜歯処置後は暫く入院することになりました、術後10日目からは徐々に食欲が出てきて順調な経過でした。
スタッフからどうも呼吸状態がおかしいと報告がありました。呼吸抑制から上部気導に異常があることを感じさせました。野良ちゃんのため、十分に触らせてもらえませんし、喉の観察は到底できません。よって、鎮静後にレントゲン撮影を行いました。レントゲンの映像は、喉の入り口に何か閉塞が生じていることを示唆していました。
●喉頭の腫脹
鎮静を追加して喉を観察しました。
右側の口頭蓋部分が著しく腫脹し、呼吸はそのわずかな隙間から行っている状態であることが分かりました。その部分の細胞を採取し染色、そして、時間的猶予がないので、緊急一時気管切開術を行うことにしました。
●一時的気管切開術
7日後に挿入していたチューブを抜去したところです。
喉の腫れは治まり、正常に呼吸できることを確認してチューブを抜き取りました。
●7日後
なかなか心を許してもらえませんが、口内炎は消退し、食欲安定、呼吸状態良し、来週には帰宅予定です。
猫の化膿(縫い針の誤飲) [News]
●キーちゃん 6歳 ♀ 雑種
「吐血?、シーツに血が付く」という主訴で初診で来院いただきました。
拝見する前から異臭を放ち、咬まれたことによる化膿を想像していました。詳細は、喉の皮膚に3×5p程の壊死を生じて小さな破れた穴から臭い分泌物が排泄されていました。衰弱(重度の肝障害:黄疸と脱水)が激しいことと、皮膚は既に壊死(腐敗)を起こしていたので無麻酔で切除を行いました。切除を進めると、光った異物がこちらに向かって飛び出していることに気づきました。「ん?」と思いながら引き抜くと糸付きの縫い針が収穫されたのでした。その状況を見ていた飼い主さんも吃驚で「いつの間に食べたのでしょうか?」「どうして針を飲んだのでしょうか?」と答えようのない質問が続きました。
とにもかくにも、麻酔をかけないと詳細が分からない状態でありますが、肝障害を発生しています。まずはエネルギー充填、その後、傷を本格的にデブライド(清浄処置)して、内視鏡で食道の状態を内側から確認する予定をご説明し、そして、すぐに栄養補給用の鼻カテーテルを設置しました。
●内視鏡検査と胃カテーテルの設置(10日目)
頚部の状態は複雑で針による食道の損傷を確かめることができません。まずは、食道の状態を把握するために内視鏡を使用しました。内視鏡で見る限り食道は綺麗に目えます、2日前にスタッから「鼻カテーテル〜スープを与えると苦しそうにする」と報告を受けていましたので、とりあえず食道を保護する予定で胃にカテーテルを設置することにしました。
●頚部清浄
頚部をクリーニングすると、穴の大きさが5×10pに広がりました。3ヶ所に排液ドレーンを設置して、損傷部を縫い縮めました。
4本の排液チューブとできる限りの傷の縮小化を図りました。
●その後
喉の再縫合を行いました。時々喉に何か詰まるかのように苦しそうな発作が続いていましたが、麻酔処置以降は、その症状は全くなくなり、日に日に機嫌が良くなっています。(嬉)
退院間近です!