広島県呉市「石崎動物病院」

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循環器科

1隻のフィラリア虫体の影響 [News]

●フィラリア症
フィラリアとは蚊が媒介する寄生虫の事です。フィラリアの成虫は、犬の肺動脈へ寄生します。そのフィラリアが移動して右側の心臓の弁につまることを大静脈症候群と呼びます。突然血液が壊れ出し急速に症状が悪化します。時間経過とともに救命率が低下します。下は、フィラリアの成虫数匹です。メスが約20cmオスはその半分以下のサイズです。

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●ナオ ラブラドル 15歳メス
平成17年の検査でフィラリア陽性でした。その後予防をお勧めしていたのですが、飼い主さんが船乗りの為、家をほとんど留守にするため予防を忘れられていたようです。
この度、食欲、元気が無いと来院されました。フィラリアの急性症状である心雑音・溶血・黄疸は見られません。しかし、フィラリア未予防、貧血と軽度の腹水より、フィラリア症を疑ってまずは、超音波検査を行うことにしました。幸い、おとなしい子でしたので、じっくりと時間をかけて、超音波ビームの角度を微妙に変えて映像を見ると「いたどー!」一隻(一匹とは言わない)のフィラリアと思われる小さな点を発見しました!

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●腹水
軽度の腹水の存在がありました。
フィラアは肺動脈に寄生します。その結果、心臓からの逆圧が肝臓にかかり、その障害により腹水が溜まります。腹水が溜まりだすと、かなり慢性で重度です。フィラリア寄生による影響かどうか検討が必要です。

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●手術
フィラリアの急性閉塞時の救命処置は、頚静脈から心臓に向けて長い鉗子を挿入し虫を摘出することです。時間経過とともに症状が進みますので、一刻の有余もありません。ということで、緊急手術に入りました。手術時間は、通常15分程度で終わる手術ですが、今回は、虫一隻にてこずり約30分要しました。

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左は大きさを示す綿棒

●術後
術後翌日から食欲が出ました。しかし、十分とはいえません。術後10日目には、食欲も増加し、腹水も減ってきました。退院後の姿は、別人のように15歳とは思えないはしゃぎぷりです。せっかく助かった命です。油断をせずに、これからは予防を心がけて、さらに長生きしましょう!

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僧帽弁閉鎖不全症 [News]

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僧帽弁閉鎖不全とは、老齢小型犬に多く発生し、進行すると循環不全により肺水腫などを起こし死に至る病気です。左側の心臓の弁が変性を起こし、弁が閉鎖時にしっかりと閉まらなくなり、逆流を生じます。この悪循環により心臓の拡張が進み、咳、肺水腫、失神などが起こります。診断には、聴診、胸部レントゲン、超音波検査があります。

<レントゲン>
この例は、軽い咳が見られるチワワです。右が上から、下が横からの撮影で、心臓、動静脈、肺野を観察し、重症度を判定します。

軽度の心拡大が見らえます。

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<超音波>
●長軸断面
この部位で弁の動き、形、そしてカラードップラーを乗せて逆流の有無をまずは確認します。

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●左室流出路断面
大動脈と左心房の大きさを比較し、左心房の大きさをを数字で表します。

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●短軸腱索断面
左心室の収縮能力を数字で表します。

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●四腔断面
左側の弁から漏れ出る逆流を検査します。
赤と青と緑と黄色が入り混じり(モザイク)のが逆流です。
間違いなくこのケースでは、進行の時間差はありますが、心不全へ移行していきます。

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●逆流量の測定
逆流に計測器をのせて速度を測定します。

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●流速量の測定
左心房から左心室に向かう血流の速度を測定します。
心室の拡張する能力を観察する検査です。

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以上の検査から、心臓薬を処方し、定期的な検査により処方回数、処方薬の調整を行います。早期診断、早期処方により寿命が長くなるので、小型犬では、7歳以上の定期検診は必須です。
早い段階で正しい診断を行い、処方を始めることが大切です!


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シャリホツちゃん、その後・・・(その1)。 [News]

●3月4日(水)晴れ

前回登場してシャリホツちゃんの脾臓の腫瘍摘出と不妊手術のための手術当日です。

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前回は、心臓のフィラリアの虫体は、相変わらずいたのですが、循環動態に影響がないようなので、今回は、上記の手術のみを行う予定でした。

しかし・・・血液検査をしてみると、前回は正常ギリギリの値でしたが、今回は、さらに貧血が進み、正常範囲を下回っていました。尿検査を行うと、鮮血(2+)。溶血、黄疸がなかったこと、また、食欲元気ともに正常なことから、安心していましたが、急遽、手術を変更してフィラリア虫体を摘出する手術に切り替えました。

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●これが、左心房から摘出したフィラリア虫です。雄3匹、雌2匹の総計5匹です。
ちなみに、メスの方が太くて長くて約30cm、雄は約10cm、細く短く、尾部がコイル状になって、これでメスを抱きかかえますorすがりつきます。人の世界と同じくメスの方が生命力があり、勢いを感じます(笑)。


無事に手術が終了し、2時間後に帰宅。
脾臓の腫瘍と不妊手術は後日になりましたので、次回ご報告します。


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