広島県呉市「石崎動物病院」

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猫の腸管腫瘍 [News]

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●春 三毛猫 ♀11歳
昨年3月から食欲が落ち、徐々にやせてきたそうです。他院にて色々と検査をされた様ですが、原因追求まで至らず遠方よりお越しいただきました。定期的な嘔吐を繰り返し、食べる気はあるが、食べた後に必ず吐いてしまうとのことでした。白血球の軽度の上昇と中毒性変化がみられることから、体のどこかに炎症があることが疑われました。既に検査をたくさんされていましたので、まずは、腹部の異常にしぼって、超音波検査をさせていただくことにしました。

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●超音波所見
胃の運動低下。小腸の形が異常にみられる部位の存在。膵臓周辺の異常像。リンパ節と思われる腫れの存在。他にには、胆泥貯留などが気になりました。
ここ数日食事を食べていないこと、明らかに腹部に異常がみつかったことから、腹腔鏡を用いた検査をさせていただくことにしました。

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●開腹へ
腹腔鏡で明らかに腸の閉塞様所見がみつかりましたので、急ぎ飼主さんにご相談の上、開腹手術に切り替えました。

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●腸閉塞
お腹全体に炎症所見があり、小腸の一部が腫瘍化し閉塞している部分が直ぐに見つかりました。術後にその部位を切開すると腸の管の部分は、ほとんど閉鎖され液体も通らない状態になっていました。全体像からするとリンパ腫が疑われます。

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●腸吻合
腫瘍と思われる部分を広めに切除し、腸の上下で大きさを調整して、結合させました。

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全周を縫合し、漏れがないことを確認します。その縫合部に予防的に大網をかぶせて固定します。

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●術後
11歳と言う高齢、また食事もしばらく食べれない状況下で長時間の麻酔でしたので、特に麻酔管理に気を使い大変でしたが、無事覚醒し、その日の夜にはお帰りいただきました。
翌日からは、嘔吐が「ピタッ」と止まり、顔つきもよくなり不快感が無くなったと聞きました。また、食事も少量ですが、生きよい良く食べ、その後も吐いていないという嬉しい報告を受けました。これから検査結果の報告がまっていますが、とにもかくにも前向きに物事を考えていただくようにご指導させていただきました。「春ちゃん、一緒にがんばろう!」


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歯石除去の手順 [News]

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●歯科ユニット
最近、歯科ユニットを新しくしました。右がユニットで、低速ドリル1本、高速ドリル2本、吸引機1本、洗浄機1本、超音波スケーラー1本を備えています。左の大きな装置がコンプレッサーです。

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●観察
まず、全体を観察し、次に一本一本の歯の状態を検査していきます。歯肉の状態、歯肉ポケットの深さ、エナメルの状態、歯の本数、歯のぐらつきなどを詳細に記録します。

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●検査
歯肉のポケットの深さを計っているところですが、このケースでは歯肉部分に出来物を発見しました。検査終了後、切除しました。

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●歯石除去
詳細な検査後に、超音波スケーラーを用いて歯石の除去をおこないます。次に、歯肉ポケットに残る歯石を別のスケーラーを用いて歯石を取り除きます。

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●レントゲン撮影
異常を感じた歯は、レントゲン撮影を行います。根が残り継続した炎症がある場合、乳歯が埋まりこんで炎症を内部で生じている場合、根の先端が化膿している場合、腫瘍の周囲組織浸潤を見る場合などに使用します。ここで、必要であれば抜歯、そして必要であればフラップを形成して処置します。

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●染色
皆さんも歯医者さんで行うように、歯垢の取り残しが無いかを検査します。残っている部分があれば、再度超音波スケーらを使ってクリーニングを行います。

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●研磨
みがき粉を付けて歯の表と裏をまんべんなく磨き上げます。

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●洗浄
最後に蒸留水で洗浄して、ポケットの深い部分に薬剤を注入して終わりです。全ての歯を一本一本検査、処置しますので、問題が多い場合には3時間ほど必要になります。
お疲れさまでした!


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猫の肥満細胞腫 [News]

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●小さな[出来物]?
1cm未満の小さな「いぼ」の様なものができたそうです。

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●肥満細胞腫とは?
「出来物」から採取した細胞の観察を行いました。
青い丸い核を持った細胞と好酸球(ピンクの顆粒)が見えます。青い細胞が肥満細胞です。肥満細胞は正常組織に存在しますが、その細胞が特定箇所に増殖することは異常です。

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●核分裂像
中央に見えるのが、肥満細胞の核分裂像です。顆粒が少ない肥満細胞と核分裂が見えます。顆粒の少ないことは悪性所見(その他:核小体が大きい、核が大きい、核の大小不同がある)につながりますが、核分裂所見は悪性度が低い場合にも認められます。猫の場合は犬と異なりグレード分類が確率していませんので、可能であれば大がかりな完全切除を行います。

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●完全切除
完全切除をするため腫瘍から2cm以上の切開、そして、深さは筋膜までの切除を行います。この組織を丸ごと病理検査に提出して切除確認を行います。不十分であれば、再手術が必要になります。また、転移観察の為に、一緒に腹部の超音波検査を行いました。もし、脾臓が大きかったり、膨らみが見えたりしたときには、その部分をさらに観察する必要があります。また、嘔吐と脾臓が大きくなっている同時所見があれば、正常に見られる画像でも、積極的に検査を行う必要があります。

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●術後
僅か8mm程度の腫瘍でしたが、上記の通り大がかりな切除を行いました。したがって痛みの管理は、徹底しておこないます。術後の病理検査は、低悪性度の肥満細胞腫との報告でした。切除範囲は完全で安心しました。飼主さんは、数日前に他の猫ちゃんを亡くされて深い悲しみをお持ちでしたので「ホット」しました。


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