犬の下顎骨骨折 [院長ブログ]
●雑種、歳、♀、チビ
激しい兄弟喧嘩後に大きな声で叫ぶように鳴くと緊急で来院されました。口を開けると痛がるので、麻酔をかけて精査させていただくことに決めました。
顎関節の脱臼が頭をよぎりましたが、レントゲン撮影の結果、下顎部の剥離骨折があることが分かりました。
●固定処置
顎の安定化を図るために犬歯の固定を行いました。
そして、暫く口から食べるのはお預けになりますので、食道へカテーテルを装着して強制給仕を行うことになりました。
●術後7日目
安静にすることは無理、再び兄弟喧嘩の心配を訴える飼い主さんのリクエストにお応えして、1ヶ月ほど入院することになりました。台の上で体重測定をする際、タオルを掛けるだけでも同じく「キャン」と鳴くので、そうとうな神経質であることが分かりました。早く馴染んでくれれば良いのですが・・・・・。
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犬の胆嚢粘液嚢腫の破裂 [院長ブログ]
●Dax 12歳 あん ♀
主訴は二日前からの嘔吐と食欲不振でした。
身体検査では、肥満、乳腺腫瘍、乳汁分泌、陰部腫脹、結膜充血、黄疸、著しい歯石などがありました。
血液検査では、著しい黄疸、肝酵素の上昇、白血球増加、電解質異常、重度の脱水が引っ掛かり、膵炎、肝−胆道系疾患を調べるために超音波検査を行いした。
まずは、輸液で脱水を矯正した後に急ぎ開腹手術と決めました。
●破裂した胆嚢と粘液嚢腫
開腹するとまずは濃い血様の腹水とコーヒーゼリー状の破片が目に飛び込みました。超音波検査と腹水の検査から、この状況を想定していましたが、粘液嚢腫の破裂をこの瞬間に確信しました。そして、胆嚢の部位をのぞくと、多くの出血をと胆嚢の形をしたコーヒーゼリーの塊を認めました。破裂した胆嚢と肝臓の付着部を剥離して、総胆管の開通を確認して摘出しました。
そして、徹底的に腹腔内を洗浄し、ドレインを装着して終了しました。
●胆嚢早期摘出の勧め
胆嚢粘液嚢腫が進行すると今回の様な破裂を起こし、胆汁性腹膜炎を発生してしまいます。胆汁性腹膜炎を発生すると生存率が一気に低下します。
超音波検査の段階で胆嚢粘液嚢腫を認めたならば早期に摘出することを是非とも思います。早期であれば全身状態は良好で、命がけで摘出することはありませんので・・・・。
”キューイを見つけたら早期に収穫を、コーヒーゼリーは見たくない!”
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犬の皮膚型リンパ腫 [院長ブログ]
●べべ ♀ 15歳 ビーグル
半年前から口の中が赤く、食べるのが遅いとの主訴でした。確かに歯石沈着の程度に比べて、歯肉、粘膜の炎症が顕著であることを認めました。他には、皮膚と肛門の潰瘍状病変も認めました。
●皮膚病変
●組織検査
早速、口腔粘膜と皮膚の組織検査を行いました。結果は共にリンパ腫でした。「皮膚型リンパ腫」とは、皮膚にできるリンパ腫ですが、口腔粘膜タイプが皮膚タイプと比較して生存期間が4倍あると言われます。残念ながらべべは、皮膚にも粘膜にもリンパ腫が存在しました。
●治療
皮膚型リンパ腫の治療は抗癌剤を使用するのが通例ですが、飼い主さんの希望はできるだけ抗癌剤を使用したくないとのことで、免疫増強療法を選択されました。確かに抗癌剤の全身投与は、腫瘍を叩きつつも、自己も同様に傷つける方法です。理想は、腫瘍組織のみをピンポイントで攻撃できれば良いのですが・・・いつもながら全身性に広がる腫瘍では、難しい選択を迫られることになります。










