猫の慢性腎不全 [院長ブログ]
●さくら ♀ 日本猫 17歳
慢性腎不全とは、猫の一番多い老齢期の疾患です。
腎臓が萎縮することにより腎臓機能が低下し、様々な症状が出現します。代表的な臨床症状は、多飲、多尿による脱水、貧血。食欲不振による削痩、嘔吐、下痢などです。血液検査では、血液量の増加(脱水による)腎機能関連値の増加(BUN、Cre、P、K)が特徴的です。
さくらは、一時期血液量が9%まで低下しましたが、ホルモン剤の定期的投与により現在は37%を維持しています。また、膀胱炎を繰り返していましたが、現在は落ち着いています。慢性腎不全の治療が始まり、既に4年半が経過しました。
●尿検査と画像検査
尿検査に加えて腎臓の状態を把握するために、超音波検査で、腎臓の色、形、血行状態を調べます。また、尿管の閉塞を除外しておくことが必要です。
●治療
慢性腎不全を治癒させることはできません。治療目的はいかに生活の質を保ちながら長く生きてもらうかです。検査、治療は以下です。
★貧血⇒ホルモン剤、鉄剤の注射
★リンの管理⇒リン吸着剤の投与
★尿毒症の管理⇒補液
★食欲不振⇒食欲増進剤、鍼灸療法、胃チューブ設置、歯石除去、
★膀胱炎の管理⇒尿検査、抗生物質
★嘔吐⇒制吐剤
★腎血流の増加⇒血管拡張薬、オゾン療法、漢方薬
★電解質の管理⇒カリウム調整薬、P吸着剤
★食事の管理⇒腎臓病食
★高血圧の管理⇒血管拡張薬
★尿中タンパクの定期測定⇒UP/C
★腎不全進行遅延⇒カルシトリオール
★水和⇒自宅での補液
上記の治療は、全て行うのではなく、個々の状態に応じて選択します。
●飼い主の協力
自宅での薬剤投与、輸液、胃チューブから食事管理などは飼い主さんの協力なくしてはできません。また、経穴にお灸をすることで血行が促進し、気を流すことで元気食欲が回復することが多々ありますが、これも自宅で治療を進める管理の一つです。慢性腎不全は治癒できない病気ではありますが、諦めずにきめ細かく管理することによって長期管理が可能です。共に頑張りましょう!
関連タグ :
油断大敵、良くある竹串事件。 [院長ブログ]
●Dax、7歳、♂、
「あっ!」という間の出来事でした。飼い主さんが気が付いた時には、既に串を加えていて、串をつかんで引っ張りだそうとしたそうですが、そのまま飲み込んでしまったそうです。
●内視鏡処置
食べてから3時間余り経過していたので心配です。既に腸へながれたか?あるいは胃の中か?レントゲンで竹串は映らないので、早速内視鏡で探すことにしました。
「!」竹串に肉が付いていたたお蔭で胃の入り口に引っかかっている状態で発見できました。肉がなければそのまま突き刺さっていたかもしれません。
●幸運のミート。
折れた串とそれに引っかかっている肉を取り上げることができました。食道に存在していた肉片も一緒につかんできました。
関連タグ :
犬の橈尺骨骨折2 [院長ブログ]
●バンテージ
左前肢の骨折で来院されました。まずは、骨折の安定化と腫れを引かすために厚めのバンテージを行い、手術日を待つことにしました。
●創外固定
骨折している部位には、自らの体から治癒を促す物質(サイトカイン)が集まっています。よって、骨折部位を開けてその部分を除去する様な手技を行うと治癒を妨げることになります。創外固定は、骨折部に触れずに、骨折部の遠位と近位にピンを差し込んで支持する方法です。前回の小型犬の創外固定とは異なり、大型犬で運動量が激しい場合には、より強固な支持が必要になります。
現在では、プレートを装着する場合も、骨折の軸だけを整えて、できるだけ骨折部位に触れない低侵襲プレート法に流れが変わっています。









