膀胱鏡による犬の膀胱結石排出 [News]
●あい 日本犬 8歳 ♀
血尿、頻尿が1か月前から続く主訴で来院されました。超音波では、結石を確認するも尿検査では結晶の手掛かりがありませんでした。
この度、麻酔下で膀胱鏡で検査を行うことにしました。
●膀胱鏡
膀胱鏡は、腹腔鏡と同じく、2.7mmのカメラを外套に挿入し、テレビカメラを観察しながら結石を把持したり、組織検査を行う機材です。残念ながら猫、小型犬では、口径が合わずに使用できないこともありますが、膀胱鏡を使用することで、切開なしに、あるいは、小切開で手術が行えることで痛みの大きな軽減と早期回復につながります。
●膀胱内結石
膣から上記の器材を挿入して膀胱内を観察しました。右側に見えるのが小さな結石集塊です。膀胱鏡で確認しながら洗浄を繰り返し結石を排出しました。
●蓚酸結石
結石の分析は、蓚酸でした。蓚酸結石は、食事療法で溶解することができません、今回は幸い結石が小さく、膀胱鏡が挿入できる尿道径があり、検査の採取、洗浄排泄を行うことができました。
其の後の血尿、頻尿はなくなり順調な回復です。今後は、結晶ができないように特別食による食事管理が必要になります。暫くは、定期的な尿検査を続けることも大切です。
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犬の膿皮症
●ヨークシャテリア バン 12歳 ♂
「昔から定期的に体が痒くなり、出ては引っ込み、引っ込んでは出る状態が長期に続く」主訴で来院されました。
体には、表皮小環が多数見られました。表皮小環とは、膿皮症の一つの症状で、黄色ブドウ球菌感染により形成された膿胞が複数融合し、円の中心に紅班、色素沈着が発生し、同時に円の外側に輪状に鱗屑(フケ)がみられる特徴所見を示します。
膿皮症とは?皮膚が細菌によって感染を受ける状態を言います。主たる感染菌は黄色ブドウ球菌です。対症療法としては、@抗生剤の投与A抗菌シャンプー療法B抗菌軟膏の塗布などです。しかし、原因を追究しなければ、再発を繰り返します。
膿皮症の原因の多くは、アレルギーであると言われます。稟告を詳細にとり、初発年齢、食事内容、生活環境、発生部位、犬種などからアレルギーを仮診断し、次に、アトピーあるいは、食物有アレルギーであるかを絞っていきます。食事アレルギー診断には、血液を用いる方法もありますが、新規蛋白質を投与して反応をみる「食物トライアル」を行うことが確実です。また、個人的見解ですが、このアレルギーを増悪させる根本原因には、電磁波障害、体の酸化、有害物質などが大きくかかわっていると感じています。
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猫の肥満細胞腫 [News]
●トラ 15歳 日本猫Mix
猫の肥満細胞腫は犬と性格が異なり、処置としては局所的な外科切除or凍結療法or局所注射を選択できます。今回は、肥満細胞腫に対して感受性の高い凍結療法を選択しました。慢性腎不全を持つため、先ずは処置前に点滴を行いました。
●塗抹所見
肥満細胞の特徴的な、青い顆粒を持った細胞が見られます。
●2か所の皮膚肥満細胞腫
@右頬部にできた0.8mmの肥満細胞腫
A左上眼瞼に出来た0.4mmの肥満細胞腫
●凍結療法
温度感受性の高い肥満細胞腫には、凍結療法は適した選択肢の一つです。-20度で3回凍結を行います。術後は、その部分が約2週間で壊死し脱落することになります。やがて(約6週後)傷は修復されます。
凍結の欠点は、マージン(切除範囲)が確認できないこと。また、肥満細胞に含まれる顆粒(ヒスタミン)放出のショックの可能性があります。しかし、私は凍結をした際に、そのショックの経験はありません。