猫の排尿障害 [News]
●ぱぴ 年齢不明 日本猫 ♂
「おしっこが出ない」主訴で緊急に来院されました。尿道にカテーテルを挿入し、閉鎖回路に繋ぎリリースしました。尿は真っ赤です、作業中に尾に力が入っていないことに気づきレントゲンを撮影することにしました。
●レントゲン写真
仙骨と第一尾椎間が離断して骨折(赤⇒)しているのがわかります。
●神経障害と断尾
3日もすると血尿が治まりました。カテーテルを抜管して自力で尿が出ることを期待しましたが叶いません。たぶん交通事故による神経障害により排尿障害が発生していることが一番可能性として考えられます。
数日後にしっぽは切断しました。
●排尿サポート
もともとアレルギー持ちの為、減感作療法と併せて膀胱の神経経路に鍼と波動療法を行っています。神経回復の可能性は低いですが、しばらくは上記の治療を続けるつもりです。今後は、自宅での飼い主さんによる排尿処置(1日2〜3回)が必要になると予測されます。まずは、水を入れたゴム手袋を膀胱にみたてて、トレーニングを行い、実際に本人にトライするご指導を行っていきます。また、括約筋の緊張があるため、その筋肉をゆるめる処置が必要になります。
犬の大腿部の腫瘍 [News]
●ノア 16歳 ♂ シーズー
1年前は胸部の腫瘤でしたが、今回は大腿部内側でした。以前の腫病は理検査により扁平上皮癌であることが分かり警戒を要しました。
今回も類似した塊ですが見た目だけでは判断できません。そもそも大腿部の腫瘤も早めに切除をお勧めしていましたが、16歳であること、2度目の手術であることを理由に様子を見らたようです。この度、その腫瘍が大きくなり破裂して出血がみられ、ようやく切除の決心をされました。
●胸部レントゲン写真
正面、左右の側面、3枚のレントゲンを撮影しました。特に肺への転移像は見られません。
●大腿部腹側の腫瘍
ピンポン玉ほどの腫瘤が、今回はミカン大の大きさになり、中央部が裂けて出血が見られるようになりました。大腿部には皮膚の余裕がなく、出来るだけ切除範囲を制限することに注意をはらいました。過去に去勢手術をした片側の袋(⇒)を利用して、切除部位の隙間を埋める一助としました。
緊張感がかかっていますが、ストレスを開放する減張切開をすることなく縫合出来ました。
●耳道内腫瘤
アレルギーによる慢性炎症をお持ちです。
左側の耳介及び耳道は、7年前に全摘出術を行っているため状態は良好です。アレルギーの食事管理をお伝えしてありますが、なかなか指示通りに事が運ばす、反対の右側には多くの腫瘤が出来上がり、耳道を閉鎖するに至っていました。今回は、水平耳道が比較的健全であることで全耳道切除を選択せずに、電気メスによる腫瘤切除を行いました。
●術後
一緒に歯石除去などを行ったため3時間ほどの手術になりました。麻酔の覚醒、翌日の状態は良好です、痛みの麻薬管理を行いながら、3日間お預かりする予定です。そして、今度こそ減感作までとは行かなくとも、アレルギーの管理を本気で取り組んでいただきたいと思います。
●抜糸(10日目)
大きな腫瘍を切除したため皮膚に緊張がかかり、翌朝ペニスが飛び出してしまいました。すぐに包皮の先端部を縫合し対応しました。
本日、腫瘍を摘出した部位と併せて抜糸を行いましたが、縫合部もきれいで、ペニスの突出も治まり順調に経過しいます。めでたし、めでたし🌸
緊急症例、犬の会陰ヘルニア [News]
●るい ♂ ポメラニアン 13歳
その症状は突然やってきました。「いつも元気過ぎる子が急に食欲、元気がなくなり大人しくなった。気が付けばどうもお尻が硬く膨らんでいるのに吃驚した!」と緊急で来院されました。
●右会陰ヘルニア
右のお尻は、ヘルニア輪から突出したと思われる内容物で大きく膨らんで硬くなっていました。すぐに超音波で確認すると大きく膨らんだ膀胱と前立腺が入り込んでいるのが分かりました。
⁂カルテを見ると以前より手術を勧めていた記録がありました。
急性腎不全が発症していましたので、まずは、針で穿刺して大量に溜まった尿を急ぎ抜きました。
●術後
急性腎不全による尿毒症が発症していましたので、数日間の点滴を行いながら、経過を観察していきます。2日目は、まだ腎不全の数値は高いですが、食欲は旺盛になってきました。
コロッとした「うんち」を確認、そして、本日より突然吠え出したので(4日目)急遽退院になりました。めでたしめでたし。