犬の肛門嚢の破裂 [News]
●チェリー13歳 キャバ
キャバリアという種類は、心臓病になりやすいと言われています。チェリーは左と右の心臓の弁、肺動脈弁の逆流が認められます。
今日は、定期的な心臓の検査を行う日です。レントゲンと超音波検査を行い、定期的に心臓の大きさ、逆流状況、収縮力などを観察していきます。
●あれ?肛門腺破裂!?
心臓の検査では、チェリーちゃんはじっとしていないので、いつも鎮静をかけてじっくりと見させていただいています。今日は心臓の検査と肛門腺を絞るリクエストをいただいていたのでした。しかし・・・・肛門を見ると赤く腫れあがっているではないですか!?
肛門腺とは、匂い袋とも言い分泌液が溜まる肛門の4時と8時の方向に位置する袋です。スカンクは、この分泌物を放出して敵を撃退します。同じく犬、猫にも存在します。この袋が感染あるいは閉塞することで、破れてしまうとこの様に腫れあがってしまいます。
●処置
急ぎ心臓の検査の前に局所麻酔を施し、切開と洗浄を行いました。通常、治癒までに約10日を要すると思います。この破裂を予防するには、定期的に袋を絞るか袋を切除する方法があります。多くの方は、定期的に絞ることを選択されます。
よくある病気なので、お尻を引きずる症状があれば肛門腺の溜まり具合を確認することを忘れずに、また、分らなければ急ぎ病院へ来てくださ〜い!
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揃って脾臓摘出になりました。 [News]
●ビリー ダックス
以前から痩せてきたのが気になっていたそうです・・・・ここ数日急に元気が無くなり来院されました。
虚脱状態で体温低下。血液検査で明らかな貧血があります。腹部を触ると塊様の物がわかります。超音波検査をするとお腹の中で出血している様子。急ぎ手術をお薦めましましたが、飼い主さんの心が決まらず、1日待つことになりました。
●緊急手術
翌日、飼い主さんの思いが決まり、手術をすることになりました。本来ならば前日に直ぐに手術すべきでしたが、そんなことは言っておられません。急ぎ、術前準備を施し輸血の準備を整えて麻酔に入りました。
●脾臓の腫瘍
すでに破裂していましたので、お腹の中に出血があります。お腹の中の脂肪の網が破裂部位にくっつき懸命に出血を止めようとした跡を認めます。その影響で癒着をはがすのに時間を要します。おおきな脾臓をお腹から出すときには、血圧の変化、また不整脈が出現することがあるので、慎重に行います。
●精査
手術中に一時血圧が低下し急ぎ対応。摘出後、お腹の中に転移がないかそれぞれの臓器を検査します。腎臓、膵臓、胃、腸、肝臓に肉眼的転移所見は無く一安心。
●りりー ダックス
突然、痙攣様の症状があり一時預かりしました。色々と病気を探る検査をしている時に、超音波検査で脾臓の異常所見が目にとまりました。かなり大きな塊が見つかり、今にも破裂しそうなので緊急手術を決めました。
●手術
まだ、脾臓が破裂していないので、癒着はありません。ビビと比較して、手術はスムースに進みます。小さな血管は、超音波メスで閉鎖そして切断しながら進みます。この機材を使用すると手術時間が短縮されます。
●精査
ビビと同じく転移が無いか各種臓器を精査します。
リリーは、超音波検査と血液検査で肝臓の異常所見があったので、この際一緒に肝臓の検査(組織検査、胆汁検査)を行いました。
●教訓
今回ともに脾臓に問題のあった二人は、偶然同じ日に手術することになりました。あまり病院と縁がなかったビビの脾臓は破裂。一方、普段から我々と接する機会が多いリリーは、破裂の手前で発見されました。
「検査をすると悪いところが見つかるから嫌!」と言われる飼い主さんもいらっしゃいますが、常日頃から検査をこころがけると今回のリリーの様に大事に至らないで済むことがあります。 腹腔内腫瘍は、大きくなって他の組織を圧迫するようにならないとなかなか発見ができません。定期的な超音波検査を行うことが大切です。
くれぐれも定期的な検査をお忘れなく!
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外科:草刈の時には、留守番させましょう! [News]
●ヒューガ 11歳 雄
飼い主さんは、ヒューガちゃんといつも一緒に仕事に出かけているそうです。この度、草刈りをしている際、草にまぎれていたヒューガちゃんのお尻を刈ってしまったのでした。
傷は、ずいぶんと深いようです。まずは、血液検査と身体検査で全身状態を把握して麻酔をかけました。
●砂と草
太っているのが幸いして、深い傷でしたが、お腹まで達していませんでした。(ここでは、その写真は載せるのをやめました)しかし、たくさんの草と砂を取り除くのが大変です。外傷の原則は、6〜8時間以内に傷を処置すれば感染を防げます。ヒューガちゃんは受傷後3時間ぐらいでしたので、正しく処置すれば化膿を防げると思います。
●術後
砂と草を取り、その後大量の液体で傷を洗浄しました。そして、排液用のチューブを5本装着して終了しました。
お腹の半分を占める傷でしたので、術前、術中、術後の疼痛管理が傷の治りを左右します。
●その後
その後、数回の包帯交換を終え、傷は化膿することなく、抜糸も無事に終わり、心配した機能障害も無く完治しました。
歯もかなり凄かったのですが、この度は緊急事態の傷を最優先して次回にまわすことにしました。この歯も常に感染巣となるため、特に年寄りにとって、放置しておくことは恐ろしいことです。
●教訓
とにもかくにも、草刈時には、犬を連れていかないように注意しましょう!