犬の橈、尺骨骨折 [News]
●橈骨、尺骨(上腕骨)骨折
少し高いところころから飛び降りた瞬間に足を挙げる様になったそうです。
小型犬、特にプードル、ポメラニアン、チワワなどは、この部分(手首から肘の間)の骨折を起こします。手技は、骨の安定化を図るために、プレート、創外固定、(ピンニング)などの手術を行います。
●骨折直後
●術後
腫れを防ぐために数日、この包帯を行います。
●プレート装着1ヶ月後
●ネジを一部除去した3か月目
●注意
細い骨なのでネジを抜いた後の再骨折を防ぐために、段階を追って除去していく必要があります。そして、ネジ穴が埋まる間は、安静が必要です。
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猫の耳介の損傷 [News]
●チャコ ♀ 10歳 茶トラ
一家の猫(10匹)全てが耳疥癬に感染し大変なことになってしまいました。特にチャコちゃんは、痒いあまりに後ろ足で必死に掻いたんでしょう、耳介部が大きく損傷し壊死に陥りました。
●壊死した耳介
●7日目
●14日目
●21日目
●30日目
●43日目
●湿潤療法
私が中学、高校とラグビーをやっている頃は、セービングといって落ちた球を素早く拾う動作がありました。その動作は足を滑らせていくので、硬いグランドでは大腿骨外側のあたりを酷く損傷したものです。その時の治療は、赤チン、ヨーチンを塗布して早く乾燥させるものでした。傷に染み入るので「おー」と声を上げたものです。
現在、傷は乾燥させて治すのではなく、湿潤させて治すことが正しいとされています。当初は、皮膚の移植、皮膚弁の検討を行っていましたが、43日でほぼ完治の域に達しました。むろん傷に消毒液を使用して「おー」と言わしてははいけません。
犬の脾血腫 [News]
●ブッチー ♀ コーギー 13歳
毎度おなじみの脾臓の問題です。今回は、身体の大きさに占める過去最大級のそれは、それは大きな代物でした。飼い主さんの主訴はなんと、「妊娠したのでは?」でした。だんだんとお腹が大きくなり何時になったら子供が生まれるのかと心配になって連れて来られたのでした。
●著しい腹圧
大きな腹部病変のある例では、手術中の呼吸管理がとても大切になります。また、いきなり腫瘤を摘出することで血行動態が変化して死に至ることもあります。
●手術
血管肉腫を心配しながら手術を進めました。
摘出後の腹部探査では、転移らしき病変を認めることはありませんでしたが、病理検査で確認を行う必要があります。
●脾血腫
脾血腫とは、腹部への鈍性外傷や何らかの血管障害に続発して生じる病変と言われます。術前に鑑別診断のための穿刺を行うことは危険を伴うので、術後の病理検査で確認することが大切です。異型性のない、つまり腫瘍病変でなかったことに安心しましたが、腫瘍でなくともお腹の中で膨れ上がっていたので、強い外傷が加われば大量出血、そして、失血死と言うことにもなりかねませんでした。
●子宮内膜症と腺筋症
脾臓を摘出した後に内臓を精査すると、子宮の異常も見つかり同時に取り出しました。結果は、子宮内膜症と腺筋症でした。子宮内膜症はその後続発性の細菌感染で子宮蓄膿症、腺筋症を併発する可能性があるので、一緒に処置できたことは有意義でした。また、腺筋症は平滑筋系腫瘍との鑑別が必要のため病理検査は十分に意味がありました。
●10日目
お腹は見ての通りスッキリとし、貧血(24%、脾臓の一部が裂けて腹部内で出血していたため)も正常(40%)復しました。今までトボトボとしか歩くことしかできなかったそうですが、術後は見違える様に走り回っていいるそうです。脾臓に悪性所見なし、ブッチーの前途は明るい。