猫の虹彩メラノーマ [News]
●アメリカンショートヘアー ♂ 15歳
「結膜に何かできている気がする」主訴で来院されました。
以前より緑内障で治療中でしたが、普段からから結膜を見る習慣が備わり、今回の変化に早い段階で気が付かれたようです。
まずは、病理検査の為にサンプル採取案も浮上しましたが、もし悪性腫瘍(メラノーマ)であれば再度麻酔をかけて眼球摘出を行わなければならないこと、慢性緑内障で眼圧が高く、いやいやながら点眼を毎日おこなっていることを考慮して、試験的に眼球摘出を行うことにしました。
●術後
外観は、残念な状況でありますが、いたしかたありません。
翌日からは、食欲もあり安心しました。
●病理結果はメラノーマ
数日後の病理検査では、虹彩メラノーマ(悪性黒色腫)と診断されました。結果的に積極的に眼球摘出を決断して良かったと言えます。眼球摘出を行ったので病変の完全摘出につながり、予後は良好といえます。
今後のケアーは、抗癌剤は使用せず、免疫増強療法を行う予定です。
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犬の陰嚢前部尿道瘻設置術 [News]
●ロン ♂ 四国犬 14歳
そもそも、瀕死の状態で担ぎこまれました。著しい脱水、虚脱、皮膚にはたくさんの蛆が発生して、命の灯火がまさに消えようとしている状態でした。安楽死の選択肢もよぎりましたが、飼い主さんのできるだけのことをして欲しいとの希望で看護が始まりました。横たわった状態故に、数時間おきに体位の変更を行い、床ずれに細心の注意を払い看護士による毎日の手厚い看護により徐々に回復が見られました。その甲斐あり、1ヶ月もするとヨタヨタながらも歩行可能になりました。
●新たな問題点
入院中の検査で発見された一つに、尿閉状態に陥ることが分かりました。ペニスの先端から6p程の所に狭窄部位があり、自力での排尿が僅かしかなく、放置すると尿閉を起こしてしまうことが発見されました。狭窄の原因は、以前に膀胱結石が閉塞した経験があるようでした。内科的にアプローチを試みましたが、どうしても上手く排尿できず、膀胱炎が続きます。
●手術
止む無く、手術で閉塞尿道を回避して尿の排泄を導くことにしました。翌日より無事に自力排尿が可能になり、順調な経過をたどっています。切開部からの出血は暫く続きます。
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猫の膿胸 [News]
●花子 日本猫 1歳4ヶ月 ♂
「呼吸状態が著しく悪く、全身状態も悪いので処置してほしい」と他の先生からご依頼いただきました。確かに体位を変化させるだけで呼吸困難に陥ります。まずは、酸素補給、重度の脱水を強制するための強心剤入りの輸液を行い。3時間後にレントゲン撮影と全身麻酔による処置を行いました。
膿胸の原因は?
一言で言えば胸腔内の細菌感染から生じます。細菌が胸腔内に入る考えられる原因は、喧嘩による咬傷、肺炎、他の部位からの波及によると言われます。原因菌は、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などが分離されます。
●膿の吸引
最初に応急的に口径の細いチューブをいれて膿を抜きました。肺が十分膨らみ状態が落ち着いたのを確認後、太い胸腔チューブに入れなおしました。
約300mlの膿を吸引することができました。洗浄を繰り返し、採取した膿を培養検査に提出し、適切な抗生物質の選択を待ちます。院内での細胞診検査では、球菌による感染を強く疑いました。
●処置後(翌日)
最悪の状況が嘘の様に落ち着き、食事をいただくこともできるようになりました。胸部レントゲンの結果は、単なる膿胸ではなく、胸腔内に塊状病変の疑いがあり、さらに詳しい検査が必要になりそうです。まずは、一命を取り留めました。
●太郎のお見舞い
翌日には、いつも一緒にいる太郎が面会に訪れました。花子ちゃんも嬉しそうに太郎の背中に乗ってくつろぎ、2人の仲の良さが分かります。